第18回日本薬局学会学術総会

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優秀演題候補セッション(口演)

優秀演題候補セッション(口演)

Sun. Nov 3, 2024 9:00 AM - 10:20 AM 第6会場 (4階 416+417)

座長:大上 哲也(千葉科学大学 薬学部 教授) 副座長:伊藤 将(株式会社アインホールディングス 医療連携学術部 学術課 リーダー)

[AO-04] 新しい指標「DASC」を用いた保険薬局における抗菌薬適正使用の評価

長谷川 洸介1,2, 松村 有里子1, 瀬山 翔史2, 中南 秀将2, 森 智子1 (1.(株)メディックス, 2.東京薬科大学・薬学部・臨床微生物学教室)

【目的】地域における外来抗菌薬の適正使用を推進するためには、病院と同様に抗菌薬の使用量を適切に評価する必要がある。最近、病院では、新しい評価指標として抗菌スペクトルを加味したDASC (Days of antibiotic spectrum coverage) が検討されている。DASCは、DOT (Days of therapy) よりも抗菌薬適正使用の効果をより適切に反映できる可能性があるが、保険薬局においてDASCを用いた調査研究は報告されていない。本研究では、地域の保険薬局において、DASCが抗菌薬適正使用の有用な指標となり得るか検討した。
【方法】2018年1月1日~2023年12月31日までの期間で、当社八王子エリアの保険薬局1店舗で調剤した抗菌薬の使用量を集計した。抗菌スペクトルを考慮したASCスコアから算出したDASCを利用し、DASC/100 prescriptionsを算出した。また、DOTsを集計し、DOT (DOTs/100 prescriptions) を算出した。さらに、抗菌薬適正使用を評価するために、DASC/DOT (1処方あたりに投与された抗菌スペクトルの総量) による指標を計算した。
【結果】2021~2023年のDOTとDASC/100 prescriptions は2020年以前と比較して、50.1%、51.5%減少していた (P < 0.05)。同期間のDASC/DOTは、2020年以前と比較して、0.7%減少していた。DOTとDASC/DOTの相関係数はr=0.05であり、処方せん枚数の減少や抗菌薬処方日数の減少に相関関係は認められなかった (P=0.67)。
【考察】本研究より、地域の保険薬局においてDASCとDOTを併用することで、抗菌薬適正使用の状況を詳細に把握することができ、より適切に評価できることが示唆された。今後、保険薬局においてもこれらの指標を積極的に活用し、市中の抗菌薬適正使用を推進する必要があると考える。