第18回日本薬局学会学術総会

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優秀演題候補セッション(ポスター)

優秀演題候補セッション(ポスター)

Sun. Nov 3, 2024 1:00 PM - 3:20 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[AP-2-B] 糖尿病患者におけるインスリン製剤補助具の活用と薬剤師による介入効果

中山 晴香1, 齋藤 聡夫1, 松尾 宗一郎2, 深津 英人3, 松井 洸3, 山口 浩3, 野村 和彦3 (1.(株)杏林堂薬局 浜松医大調剤センター, 2.浜松北地区エリア長, 3.(株)ツルハホールディングス)

【目的】視力・握力低下等を理由に一部の糖尿病患者ではでインスリン製剤を適正に取り扱うことができず、血糖コントロールに影響を及ぼしている。そのような患者では、補助具により自己注射手技をサポートすることで血糖コントロールの安定とQOL向上がもたらされると考えられる。補助具にはすべり止め、拡大鏡が存在するが本研究では汎用性の高い拡大鏡に着目し、補助具による手技向上の有無とHbA1cへの影響について調査を行いその有用性を検討する。
【方法】浜松医大調剤センターを利用する患者のうちフレックスタッチ又はミリオペンのいずれかが処方された者を対象に調査を行った。対象者のうち患者IDが奇数の患者にのみ補助具を提供し電話アンケートへの参加を依頼した。後日、電話アンケートにて補助具の使用感について5段階での評価を聴取した。その後、補助具を提供した患者と補助具を提供しなかった患者の両群についてHbA1cの変動を比較し、HbA1c改善効果に差が生まれたかを調べた。
【結果】補助具使用群は16名、未使用群は16名であった。使用感アンケートでは、ポジティブな評価である「とても良い」が9件(56%)、「良い」が4件(25%)で両者は全体の81%を占めた。補助具を提供した患者のうち13名で補助具使用前後のHbA1c値が得られたが、補助具使用群と未使用群の比較において使用群での有意なHbA1c改善は認められなかった。
【考察】HbA1c改善効果について補助具の有無による有意な差は認められなかった一方、使用感については肯定的な意見が多く、「単位数が奇数の時に合わせるのが楽になった」との意見もあり、補助具が適している患者では自己注射時のストレスを軽減しQOL向上につながったと考えられる。今後長期的な調査を実施する中で、補助具により単位数間違いを防止し、低血糖防止や血糖コントロール改善を示す結果が得られる可能性があると考えられる。