第18回日本薬局学会学術総会

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優秀演題候補セッション(ポスター)

優秀演題候補セッション(ポスター)

Sun. Nov 3, 2024 1:00 PM - 3:20 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[AP-4-A] 専門医療機関連携薬局の果たすべき役割とは?~トレーシングレポートの実施状況から考える~

加藤 誠一1, 寺戸 靖1, 近藤 澄子1, 田中 直哉2 (1.(株)ピノキオ薬局, 2.(株)ピノキオファルマ)

【目的】専門医療機関連携薬局は、がん患者の薬物療法において病院と密な連携を図り、質の高い服薬指導や情報共有を行うことが求められている。
弊社では2022年8月に専門医療機関連携薬局が誕生し、医療機関との連携強化に努めている。今回、専門医療機関連携薬局で行った1年間の情報共有の成果と展望について報告する。
【方法】2023年1月~12月の期間に、医療機関に報告したがん患者のトレーシングレポート(以下TR)を集計し内容を精査した。
【結果】1年間でがん患者関連のTRは144件提出された。なお、残薬やプロトコルによる変更等の報告は除外した。
内訳は乳がん90件、大腸がん12件、胃がん11件、前立腺がん8件、すい臓がん5件、その他のがん種18件であった。
144件中、処方提案が22件実施され18件で処方変更につながった。また、副作用発現を確認して受診勧奨を行い、受診した例は3件であった。そのうちの1例を紹介する。
症例:71歳女性乳がん、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル療法。化学療法実施後7日目の電話フォローアップ(以下TF)で、下痢が悪化し摂食が難しくなっていると聞き取った。主治医に連絡し、受診するようにと返答を得たため患者に伝達した。受診までは経口補水液で水分摂取を試みるよう指示しTRで報告した。受診後そのまま入院となった。輸液管理にて状態は安定し、次回の治療では薬剤が変更となった。
【考察】今回の調査では、処方提案の80%以上が次の処方に反映されており、処方変更に至る割合は全体の12.5%であった。薬局薬剤師のTFおよびTRの報告が有用であったことが示唆される。
さらにTFによる副作用の聞き取りによって緊急受診が必要となった例が約2%存在した。これは抗がん剤使用患者に対して、副作用管理の面で大きな貢献を果たしたといえる。
在宅での抗がん剤治療が一般的となった現代において、専門医療機関連携薬局の担う役割は更に重要になると考える。