第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

優秀演題候補セッション(ポスター)

優秀演題候補セッション(ポスター)

2024年11月3日(日) 13:00 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[AP-8-B] 診療ガイドラインに基づく標準的心不全治療(GDMT)の実態調査-シンプルGDMTスコアを用いた評価-

小平 久正2,3, 小平 陽子1, 小泉 知尋1, 近藤 優子1, 吉山 友二3, 根岸 健一3 (1.(株)トモズ 関東労災病院前店, 2.大倉山店, 3.北里大学薬学部 地域医療薬学)

【目的】近年、左室駆出率が低下した心不全患者に対しては、診療ガイドラインに準拠した薬物治療(GDMT)が推奨されている。また、GDMT導入を定量的に評価したシンプルGDMTスコア(SGS)を用いた検討で、心不全の予後にはSGS 5点以上を目指すことが重要との報告がある。しかし、年齢、K値、血圧、腎機能、併存疾患など様々な要因でGDMT導入が出来ない場合もある。本研究の目的は、GDMT導入の実態を調査・把握し、導入維持のための患者フォローアップや医師への処方提案につなげることである。
【方法】2023 年4 月から2024 年5 月に関東労災病院循環器内科を受診後、当薬局を利用した心不全患者61例を対象とした。SGS 4点以下を低スコア群、5点以上を高スコア群とし、2群間で年齢、性別、併存疾患、処方内容、検査値(Hb値、K値、eGFR)を比較検討した。
【結果】低スコア群(n=25)は高スコア群(n=36)に比べて高年齢で、女性の比率が高かった。GDMT導入率は高スコア群(β遮断薬:94%、RAS系阻害薬:75%、MRA:83%、SGLT2阻害薬:83%)に比べて低スコア群(80%、40%、28%、24%)で、特にSGLT2阻害薬の導入率が低かった。併存疾患は低スコア群では糖尿病患者の割合が低く、がん、CKD患者の割合が高かった。検査値はK値、eGFRでは差が認められなかったが、Hb値は低スコア群で低かった。
【考察】高齢女性、糖尿病、貧血はGDMTスコア低下に関連することが示唆される。低スコア群では糖尿病患者が少なくSGLT2阻害薬の導入率が低かった要因と思われる。しかし、低スコア群では高齢女性で多く見られる左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)が多く含まれ、SGLT2阻害薬はHFpEFでも推奨治療となっていることを併せ勘案し、患者フォローアップや医師への処方提案が必要と考えられる。