[EL3] 健康寿命、動脈硬化症とフレイル
従来は集団の健康状態をあらわす指標として平均寿命が広く用いられてきたが、生きている状態(QOL:生活の質)を勘案することが重要であるとの認識が高まり、死亡データだけでなく生きている状態のデータを組み合わせた健康寿命が注目されるようになりつつある。健康寿命の定義は日本、欧州、米国で少しずつ異なっているものの、いずれの国でも健康な状態で生活することが期待される平均期間を表している。
日本での平均寿命は2010年(男性79.55歳、女性86.30歳)、2019年(男性81.41歳、女性87.45歳)で、健康寿命は2010年(男性70.42歳、女性73.62歳)、2019年(男性72.68歳、女性75.38歳)である。平均寿命と健康寿命の差(不健康な期間)は少しずつ短縮してはいるものの、2019年で男性8.73年、女性12.07年である。健康寿命の延伸、健康寿命と平均寿命との差を縮小することは、国民一人ひとりの生活の質を維持し、社会保障制度を持続可能なものとするために重要なことと考えられている。
フレイルとは高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態や死亡などの転帰に陥りやすい状態であり、筋力低下、歩行・バランス障害を主体とする身体的問題、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を包括する概念、状態である。また、フレイルは適切な介入(運動、栄養、社会的など複合的アプローチ)により健常な状態に戻ることができる可逆性の状態であると理解されている。さらに、フレイルは高齢者の健康寿命に強く影響を与えていることも明らかになっており、その予防・対策は重要である。
一方、介護が必要となった原因の年齢別要因として、40-64歳では脳血管障害が約50%を占めているが、その比率は年齢が増加するほど減少し、80歳以上では認知症、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱などフレイルと思われる原因が急増している(約60%)。
すなわち、ライフステージにより疾患管理の重点は異なるものとなる。一般的にいえば、中年期(30-60代)には生活習慣病、動脈硬化性疾患予防の対策を重視すべきである。老年期(70歳以後)は低体重、低栄養の問題が徐々に大きくなりフレイルを発症しやすくなるため、その対策が重要であると考えられる。
日本での平均寿命は2010年(男性79.55歳、女性86.30歳)、2019年(男性81.41歳、女性87.45歳)で、健康寿命は2010年(男性70.42歳、女性73.62歳)、2019年(男性72.68歳、女性75.38歳)である。平均寿命と健康寿命の差(不健康な期間)は少しずつ短縮してはいるものの、2019年で男性8.73年、女性12.07年である。健康寿命の延伸、健康寿命と平均寿命との差を縮小することは、国民一人ひとりの生活の質を維持し、社会保障制度を持続可能なものとするために重要なことと考えられている。
フレイルとは高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態や死亡などの転帰に陥りやすい状態であり、筋力低下、歩行・バランス障害を主体とする身体的問題、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を包括する概念、状態である。また、フレイルは適切な介入(運動、栄養、社会的など複合的アプローチ)により健常な状態に戻ることができる可逆性の状態であると理解されている。さらに、フレイルは高齢者の健康寿命に強く影響を与えていることも明らかになっており、その予防・対策は重要である。
一方、介護が必要となった原因の年齢別要因として、40-64歳では脳血管障害が約50%を占めているが、その比率は年齢が増加するほど減少し、80歳以上では認知症、骨折・転倒、関節疾患、高齢による衰弱などフレイルと思われる原因が急増している(約60%)。
すなわち、ライフステージにより疾患管理の重点は異なるものとなる。一般的にいえば、中年期(30-60代)には生活習慣病、動脈硬化性疾患予防の対策を重視すべきである。老年期(70歳以後)は低体重、低栄養の問題が徐々に大きくなりフレイルを発症しやすくなるため、その対策が重要であると考えられる。