第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー4

2024年11月2日(土) 12:00 〜 13:00 第4会場 (3階 311+312)

座長:秋山 洋一(ウエルシア薬局株式会社 調剤運営本部 調剤企画部長)

共催:沢井製薬株式会社

[LS4-1] Common diseases治療薬のPitfall ―明日から実践できる服薬指導のTips−

佐々木 陽典 (東邦大学医学部 総合診療・救急医学講座 教授)

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 高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病等の生活習慣病への治療薬や急性感染症に対する抗菌薬など、日々の業務のなかで常に取り扱う頻用薬だが、取り扱う頻度が高いからこそ、意外な落とし穴に落ちるリスクも高い。したがって、これらの薬剤を取り扱う上での注意点を知り、明日からの患者さんへの指導に活かすことができれば、必ず「患者さんに選ばれる」薬剤師になれるのではないかと思う。
 そこで、これらの疾患の日常診療と急性期入院診療の両方に従事する現役の総合診療医の立場から、日常診療での頻用薬のPitfallと服薬指導のポイントについてお話したい。
 生活習慣病の多く、特に高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病の治療目的は「将来の心血管病を予防して健康寿命を延伸させる」ことである。日々、臨床医は「元気で長生きしてもらう」ために患者にとって最適な生活習慣病のコントロールのために尽力し、薬剤師もアドヒアランス向上のために服薬指導の工夫を行なっている。
 ところが、患者がいったん感染症等の急性疾患に罹患すると、患者の状態は急激に大きく変化してしまい、結果として「生活習慣病のベスト・コントロール」が「薬害の原因」に変化してしまう。このような状況では、アドヒアランスが良好な患者ほど、薬剤の有害事象に苦しむ可能性が高くなるという皮肉な状況が生じうる。医療者はこの点に注意して、患者の状態を見極め、急性期と慢性期とで適切に治療を切り替える/服薬指導や生活指導を変える必要がある。
 今回は、演者が自ら経験した症例に基づいて、レニンアンジオテンシン系阻害薬による急性腎不全や高K血症、SU剤による遷延性低血糖、メトホルミンによる乳酸アシドーシス、抗血小板薬による消化管出血、抗菌薬の適切使用等を例に挙げ、生活習慣病治療薬・抗菌薬等の頻用薬のPitfallについて紹介し、患者さんがPitfallに陥らない為に日常業務で実践できる指導のコツを共有したい。