第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー6

2024年11月3日(日) 11:50 〜 12:50 第1会場 (1階 メインホール)

座長:延山 誠一(関西医科大学香里病院 内科・総合診療科 教授)

共催:インスメッド合同会社

[LS6-1] 高額薬剤における病薬連携の必要性について
〜肺MAC症とアリケイス吸入療法〜

延山 誠一 (関西医科大学香里病院 内科・総合診療科 教授)

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 患者の予後やQOLを著しく損ねていた難治性疾患に、新たに開発されたたった一つの薬剤が劇的な効果をあげ、今まで難しかった在宅での豊かな生活を取り戻すことが可能となる薬剤がある。
 各種領域がんに対する分子標的治療薬や膠原病や喘息における生物学的製剤、そして難治性感染症に対する新規抗菌薬である。これらは医療におけるゲームチャンジャーと成りうるがために得てして高額であることが多い。
 医療現場では治療の可能性を知っていながら、これらの新規高額薬剤を導入するにあたっていくつかのハードルに直面し躊躇することが多い。医師と患者においては、治療効果と金額におけるコストベネフィットをどう伝えるかであり、医療知識の乏しい患者にどこまで選択することを委ねるかである。薬剤師は患者の不安を受け止め、副作用の説明を行い、医師のすくい上げ切れなかったこれらを捉え、治療計画実施のサポートをせねばならない。
 入院加療では院内におけるチームカンファレンスにおいて問題解決をすすめて行くのであるが、主戦場が在宅医療に移動することによって調剤薬局薬剤師の存在が必須となるであろう。
 すなわちチームカンファレンスに取って代わる病薬(病院―薬局)連携の確立こそが急務と考える。同時に調剤薬局薬剤師の責務の上乗せに見合った利益、知識、ビジネスチャンスの追求を目指さねばならない。
 しかし、病院経営の外側では高額薬剤は不良在庫のリスクと直結し調剤薬局の経営を圧迫しかねないのも事実である。
 これらの問題を踏まえ、非結核性抗酸菌症に対する新たな治療―アリケイス吸入療法―を例に肺MAC症の基礎知識、背景を解説したうえで我々が作り上げた病薬連携システムを提示したい。