第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー6

2024年11月3日(日) 11:50 〜 12:50 第1会場 (1階 メインホール)

座長:延山 誠一(関西医科大学香里病院 内科・総合診療科 教授)

共催:インスメッド合同会社

[LS6-2] アリケイス吸入指導の実際と薬剤師介入の重要性
北河内地区における呼吸器診療地域連携モデルと、薬局薬剤師が担う役割

串田 ゆか (株式会社J.みらいメディカル 代表取締役社長)

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 アリケイスは2021年にインスメッドより上市された肺MAC症に保険適用のある吸入薬である。肺MAC症は、兆候や症状が無症状、あるいは多様かつ非特異的なもので、難治性咳嗽、多量の痰の分泌、喀血及び疲労などが含まれる。低頻度の徴候及び症状としては、倦怠感、呼吸困難、発熱、及び体重減少が現れる。また、進行が概ね緩徐であり、数年から十数年かけて進行するが、多くの患者が最終的に重度の呼吸不全を発症し、最終的には死亡に至る場合があるという困難な疾患である。本邦での2014年のアンケート調査によると肺MAC症の患者数は13万人と推定されている。
 これまで肺MAC症には有効な薬がなく、この薬剤が上市されたことで、病状が改善される方がたくさんおられると予想される薬剤であった。実際今回の導入を通じて、薬局薬剤師としてもそのうれしい改善に立ち会えることとなった。
 しかし、この病気の患者の母集団は、主に中年以降の女性であり、薬剤の使用手順と機器のトリートメントについて、適切に行える方ばかりではないのではないかという問題も同時に予想された。
 よい薬が開発されようとも、正しい使用を行うことが期待される治療効果の前提である。脱落せずに継続していただくことで初めて満足できる効果につながる。
 そのためにかねてより地域の基幹病院が行ってきた北河内地区における呼吸器診療地域連携モデルの中で、処方元の医療機関スタッフ、特に処方医との連携を薬局薬剤師が行うことで、今回患者様に良い結果を得ていただくことができたのではないかと思われるので報告する。