[O-6-4] テモゾロミド服用者への介入によりアドヒアランス向上に繋がった一例
【はじめに】神経膠腫の補助療法の標準治療は放射線とテモゾロミドの同時併用とテモゾロミドの維持療法である。外科的治療後に高次脳機能障害が現れる可能性があることが知られており、またテモゾロミドのアドヒアランス向上は神経膠腫における生存率の改善に寄与するという報告もある。今回フォローアップにより服薬アドヒアランス不良であることに気づき、薬剤師が介入したことでアドヒアランスが改善した事例を紹介する。【症例】患者は40代男性。悪性神経膠腫の患者。入院中に手術実施し、その後テモゾロミド+放射線の併用療法を実施した。退院後、外来での抗がん剤治療が開始となり1週間後にフォローアップを実施した。 処方薬はレベチラセタム、テモゾロミド、ラモセトロン塩酸塩、ドンペリドンであった。薬の管理は本人が行なっていた。 Day7、配偶者へのフォローアップで全ての薬で残薬が見つかり、服薬できていないことが判明した。 テモゾロミドは抗がん剤であるため一包化不可のため、テモゾロミド、ラモセトロン塩酸塩、ドンペリドンを1日分ずつ個包装の袋に入れ、服用日を記載することを担当医師に提案した。次クール終了後の服薬指導時に錠剤の空を確認しアドヒアランスが改善した。また同様の確認を継続し14クールまでアドヒアランス低下がないことを確認した。【考察】テモゾロミドは5日間連続服用のためアドヒアランス不良の場合は治療に大きな障害となる。 服薬期間中のフォローアップは副作用確認の有効性が示されているが、服薬アドヒアランスの確認にも不可欠であることが示唆された。 日本脳腫瘍学会の診療ガイドラインによると放射線単独療法では生存期間中央値は12.1 カ月とされる。 既に14ヶ月を過ぎていることよりフォローアップ以降の服薬ができていることが推測される。 今後も服薬コンプライアンス向上のため、薬剤師による積極的なフォローアップを継続する必要がある