第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
薬局機能・IT化・薬歴管理・リスクマネジメント

2024年11月3日(日) 14:00 〜 14:50 第6会場 (4階 416+417)

座長:恩田 光子(大阪医科薬科大学薬学部 社会薬学・薬局管理学研究室 教授)
副座長:清水 隆也(株式会社メディカル一光 人事・研修部 課長)

[O-6-7] 生成AIを用いた自動薬歴作成システムの開発と評価

園部 大地 ((株)日本調剤 横沢薬局)

【目的】
薬歴は適切な薬物治療のために重要な役割を持つ一方で、その入力業務は薬剤師の時間的負担となっている。本研究では薬歴入力の業務効率改善を目的とし、生成AIを用いて服薬指導の音声から薬歴を出力するシステムを開発した。また開発したシステムを用いて出力された薬歴の内容や経済的コストについて評価を行う。
【方法】
実際の服薬指導を想定した2つの症例(デモ1:「新規薬剤処方」、デモ2:「コンプライアンス不良」)について、薬剤師役と患者役による模擬服薬指導を実施し、その音声データを収集した。収集した音声データは音声認識AIを用いてテキスト化し、生成AIを用いて薬歴フォーマットに従って出力した。出力された薬歴について、当薬局の薬歴フォーマットへの適合性と内容の正確性を評価した。また1回の薬歴作成にかかるコストを、生成AIを使用した場合と薬剤師が手入力した場合で比較した。
【結果】
デモ1、2ともに主観的情報(S:患者の発言)、客観的情報(O:指導の内容)は会話内容を適切に要約し、具体的かつ簡潔に要約することができた。一方でアセスメント(A)、計画(P)においては具体的な内容が不十分な傾向があった。デモ2についてはコンプライアンス不良であることを正しく判断できた。また薬剤師が手入力する場合と比較して、薬歴作成にかかる経済的コストを97%削減することができた。
【考察】
音声認識AIおよび生成AIの活用によって薬歴入力時間の短縮と質の向上が見込める可能性が示唆された。特にSOAP形式のS、Oについては会話内容を簡潔に要約して適切に出力できる。一方、A、Pについては具体的内容に乏しいといった課題があり、現状では薬剤師による修正が必須と考えられる。自動薬歴の活用により薬歴にかかる時間的・経済的コストを大きく削減できると考えられる。