第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
医薬品適正使用

2024年11月2日(土) 16:10 〜 17:00 第7会場 (4階 414+415)

座長:森本 一洋(日本薬科大学 薬学部 客員教授)
副座長:川島 誠(I&H株式会社 (スギ薬局グループ)人事・総務本部 人財開発部 部長)

[O-7-13] かかりつけ患者への継続的な服薬フォローアップが副作用の重篤化回避に繋がった事例

松川 ルミ, 花澤 真, 須田 知美, 西脇 亜紀, 服部 知加恵, 藤倉 千晶, 則武 友香, 増田 千穂, 鶴田 悦子 (たんぽぽ薬局(株))

【背景】「患者のための薬局ビジョン」(厚生労働省)において、かかりつけ薬剤師は服薬情報を一元的・継続的に把握し、安全な薬物療法を提供することが求められている。今回、かかりつけ患者に継続的な服薬フォローアップを行ったことで、副作用の重篤化回避に繋げた症例について報告する。
【症例】80歳代男性。X日、不整脈治療のためアミオダロン塩酸塩錠(以下AMD)200mg/day開始。X+7日のテレフォンフォロー時、及びX+14日の来局時には、副作用の兆候はみられなかった。X+17日、咳嗽のため麦門冬湯の処方あり。X+21日、咳症状の改善がみられなかった為、オロパタジン・カルボシステイン・デキストロメトルファン 7日分が処方となり、その後、改善を確認した。X+35日、咳症状再燃のため受診し、前回と同処方あり。X+38日のテレフォンフォロー時、咳嗽の他、10日程前から味覚異常、食欲不振、倦怠感があると聴取。AMDの副作用の可能性が考えられたため、X+40日、処方医にトレーシングレポートにて情報提供。X+42日の来局時、咳症状は治まったが味覚異常等は継続していると聴取。X+56日、AMD 200→100mg/dayへ減量となった。減量後も継続的にフォローアップを行い、味覚障害等、徐々に改善していることを確認。X+147日の来局時に味覚異常、食欲不振等の副作用消失を確認。減量による不整脈の症状悪化もみられなかった。
【考察】本症例では、かかりつけ患者に対し来局時以外にも継続的に服薬フォローアップを行い、処方医に情報提供を行ったことで、副作用を早期発見し、重篤化回避に繋がった。また、副作用消失までの長期にわたり患者に寄り添い服薬フォローアップを行うことで薬物治療の継続に繋げることが出来たと考える。今後も薬剤使用期間中のフォローアップを通じて、地域医療の中でかかりつけ薬局・薬剤師としての役割を果たしていきたい。