第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
医薬品適正使用

2024年11月2日(土) 16:10 〜 17:00 第7会場 (4階 414+415)

座長:森本 一洋(日本薬科大学 薬学部 客員教授)
副座長:川島 誠(I&H株式会社 (スギ薬局グループ)人事・総務本部 人財開発部 部長)

[O-7-14] 服薬支援機器「服薬時計®」を使用した服薬状況調査-高血圧患者版-

長南 謙一1, 内藤 詩乃1, 猿渡 圭一郎2, 名達 陽一3, 菊池 郁哉4, 原 和夫4, 大和 幹枝1, 土肥 弘久1 (1.昭和薬科大学, 2.くぬぎ薬局, 3.東区ひまわり薬局, 4.(株)わかば)

【目的】今回、われわれが開発した服薬支援機器である「服薬時計®」(以下、機器)は、服薬の予定の時間になると音が鳴るアラーム機能および服薬の有無の確認もできる機能を備えた時計である。本研究では、機器を用いたことによる服薬状況の改善と治療効果が観察されるのか調査することを目的とし検証を行った。
【方法】対象は、書面にて研究同意が得られた降圧薬を服用するも、試験開始前の外来時随時血圧値が 140/90mmHg以上、家庭血圧値が135/85mmHg以上の方21名とした。まず、全員に対しこれまで通り薬を服用し(機器を使用しない)、家庭血圧を測定してもらった(観察期間)。その後機器を使用する群(以下、使用群)と機器を使用しない群(以下、対象群)の2群に分け、服薬率と家庭血圧測定値の変化を調査した。服薬率は、(処方日数-残薬数)/処方日数×100とし、家庭血圧測定値は、観察期間とその後の直近5日間の平均値を算出した。なお、本研究は昭和薬科大学倫理審査委員会の承認を得て実施している(承認番号2022年度第7号)。
【結果】本研究に参加した21名中13名(61.9%)が、観察期間に血圧が135/85mmHg以下に改善したため調査対象から除外した。従って、使用群4名、対象群4名で検証をおこなった。調査対象者の背景は、男性4名、女性4名。年齢は、43歳から89歳で平均は70.0歳であった。服用回数は、1日1回が6名、1日2回が2名であった。降圧薬の服用数は、平均は1.8剤で、最高は3剤であった。服用の降圧薬の種類は、Ca拮抗薬が6名、ARBが5名、ARNIが2名、α遮断薬が1名であった。観察期間の服薬率は93.4%で、その後の変化は使用群では98.2%であった。また、観察期間の家庭血圧測定値は140.1±9.2/82.1±9.7mmHgであったが、使用群では139.9±11.2 /78.4±11.6 mmHgとなった。
【考察】本調査で、機器の使用により服薬率は若干の上昇を認め、家庭血圧測定値は低下を確認できた。今後、症例数を増やし調査をおこなっていきたい。