[O-7-15] 薬剤起因性老年症候群を訴える薬局外来患者を抽出するための構造化インタビュー技法を用いたスクリーニング法の開発
【目的】高齢者が急増する現代日本では、薬剤起因性老年症候群が社会的問題となっている。本研究は、薬剤起因性老年症候群を訴える薬局外来患者を抽出することを目的としたスクリーニング法の開発を検討した。【方法】202X年9月、石川県金沢市にある薬局店舗を利用する20歳以上の206名の外来患者に、一般社団法人くすりの適正使用協議会が作成した「あなたのくすり いくつ飲んでいますか?」の啓発資材を用いて、ポリファーマシーと代表的な薬剤起因性老年症候群(眠気、気分がしずむ、物忘れ、食欲低下、ふらつき・めまい、おしっこが出にくい、便秘)について説明し、患者の学びにつながる積極的介入を行なった。その後、性別、年齢、内服している薬剤数、上記の老年症候群の自覚症状があるか、その症状は薬と関係していると思うかの意識を構造化インタビュー形式で尋ねた。【結果】薬剤起因性老年症候群の有訴率は7.8%であった。その訴えに対し、薬剤数はオッズ比1.394、95%信頼区間1.161~1.674で有意(p<0.001)に関連していたが、性別及び年齢は関連していなかった。その有訴率は薬剤数に比例して増加していた。特に、薬剤5種類以上が有訴率増加に関連していた。薬剤1~4種類(n = 135)に比べ、5~7種類(n = 40)のとき有訴率は4.2倍(p<0.05)に、8種類以上(n = 31)のとき7.6倍(p<0.001)に有意に増加していた。薬剤数のカットオフ値を5と設定したとき、陽性的中率は69.9%、陰性的中率は68.1%と算出された。薬剤起因性老年症候群に特徴的な症状は眠気であった。【考察】以上、薬局外来患者に学びにつながる積極的介入を加え尋ねると、薬剤5種類以上の多剤服用に関連して、高い陽性的中率及び陰性的中率をもって、薬剤起因性老年症候群を訴える患者を抽出できることが示された。本研究成果は、薬剤起因性老年症候群を訴える患者を抽出するための有用な簡易スクリーニング法を提案するものである。