第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
セルフメディケーション・栄養・食事・公衆衛生・社会薬学

2024年11月3日(日) 10:40 〜 11:30 第7会場 (4階 414+415)

座長:長谷川 佳孝(株式会社アインホールディングス 医療連携学術部 学術課長 シニアマネジャー /明治薬科大学)
副座長:増田 千穂(たんぽぽ薬局株式会社 薬局事業本部 学術研修部 学術研修課 係長)

[O-7-16] 腎機能低下者に対して注意が必要なOTC医薬品の解析

近藤 慎吾1,2, 前瀬 鞠1, 古堅 彩子3, 岩田 紘樹1,2, 小林 典子1,2, 山浦 克典1,2 (1.慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門, 2.慶應義塾大学薬学部附属薬局, 3.慶應義塾大学薬学部 ヘルスケア・イノベーション薬学講座)


【目的】 慢性腎臓病は腎機能低下が続いた病態であり、本邦の患者数は成人の7人に1人と推計されている。その一方で、薬局薬剤師・登録販売者は、腎機能の臨床検査値を入手できないことが多く、OTC医薬品販売時の患者の状態を加味した選択薬剤の適切性を判断することは難しい。そこで本研究では、腎機能低下者に注意が必要なOTC医薬品を解析し、同一成分の医療用医薬品の添付文書中の記載内容と比較してその問題点を明らかにする。
【方法】 PMDAの一般用医薬品・要指導医薬品の情報検索サイトより、全てのOTC医薬品の添付文書情報を検索した(2024年5月1日時点)。添付文書内の使用上の注意「してはいけないこと」「相談すること」において、腎障害および腎機能低下時に関する記述のあるOTC医薬品を抽出して、その割合と記載内容について解析した。OTC医薬品の集計は配合成分に関わらず商品名ごとに1種類とカウントした。
【結果】 要指導医薬品と第一類医薬品の内服薬のうち、使用上の注意に腎機能に関連する表記のあるOTC医薬品は、80%(52/65種類)であった。また、「してはいけないこと」に禁忌の扱いとして腎疾患の既往の記載がある薬剤は、71%(46/65種類)であった。ファモチジンを例にとると、その用量は、医療用医薬品ではCcr 30~60 mL/minの人が使用する用量であったが、OTC医薬品の添付文書では禁忌の扱いとなっていた。
【考察】 腎機能低下患者において、医療用医薬品では使用可能な用量であってもOTC医薬品では安全のために使用不可能となっていることがわかった。そのため、保険薬局で簡易的な腎機能測定を可能にすることで、既存のOTC医薬品の適応範囲を拡大することができ、セルフメディケーションの推進につながると考えられる。