第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
セルフメディケーション・栄養・食事・公衆衛生・社会薬学

2024年11月3日(日) 10:40 〜 11:30 第7会場 (4階 414+415)

座長:長谷川 佳孝(株式会社アインホールディングス 医療連携学術部 学術課長 シニアマネジャー /明治薬科大学)
副座長:増田 千穂(たんぽぽ薬局株式会社 薬局事業本部 学術研修部 学術研修課 係長)

[O-7-17] 在宅栄養を広げるための教育とその実践から見えた今後の課題~在宅患者に貢献できるようになるための取り組み~

橋本 亞侑1, 阿波 実果2 (1.(株)育星会 カイセイ薬局 長田店, 2.岸辺店)

【目的】超高齢社会の日本では高齢者の低栄養傾向の割合が増加している。そのため、在宅患者には栄養管理も必要であると考えられており、カイセイ薬局長田店(以下、長田店)では以前より薬剤師と共に管理栄養士も往診に同行し、栄養剤の提案や栄養相談を行っている。そのノウハウをグループ内薬局に広げるために基礎知識の習得と患者の身体・食事摂取状況の聞き取りから提案まで1人で行えることを目標とした管理栄養士の教育とその実践から見えた今後の課題を発表する。
【方法】長田店の管理栄養士が在宅栄養に関する手順書(往診同行の手順、患者情報の管理、栄養介入方法、栄養剤提案方法等)を作成し、カイセイ薬局岸辺店(以下、岸辺店)の管理栄養士に説明した後、長田店の往診同行を見学させた。その際、患者や多職種との関わり方や手順書に基づいた栄養介入方法を学ばせた。その後岸辺店の往診同行に初めて参加させ、施設職員との関係構築を実践させた。薬剤設置同行と並行して社内研修や症例課題で在宅栄養の知識を深めた。医師から栄養の指摘を受けた1名の患者に対して長田店の管理栄養士がフォローしながら栄養介入を行った。
【結果】指導期間に薬剤師との情報共有不足が1件あったが、対策を講じ、5か月間で教育の目標を達成した。目標達成から更に5か月の間に、3名の患者に栄養相談を行い、医師や施設看護師に対しても情報共有を行えた。積極的に薬剤設置にも同行し、薬剤師とも連携を取りながら施設職員との信頼関係を構築するよう行動した結果、患者以外の栄養相談も増えた。
【考察】医師から指摘を受けた患者への栄養介入例や施設職員からの栄養相談依頼があったことから、在宅における管理栄養士の需要を認識することができた。一方、薬剤師との連携で情報共有不足があったため、薬剤師・管理栄養士で連携を取り、個々に合わせた在宅栄養に取り組める管理栄養士の育成を進めていきたい。