[O-7-20] 薬局窓口でのHPVワクチン啓発活動が接種率に与える影響
【目的】
HPVワクチンは、HPV疾患の予防に効果的である。しかし、国内接種率は37.4%(2021年度)と低く、接種率向上が課題である。本研究では、地域住民のワクチンの接種状況と接種していない理由を調査し、薬局での啓発活動が接種率向上に与える効果を検証する。
【方法】
2023年6月1日~2023年7月31日の期間に、薬局窓口でHPVワクチンに関するアンケート調査を実施した。対象はワクチンの定期接種・キャッチアップ接種の該当者とした。薬局スタッフはアンケートでワクチンの接種状況、接種していない理由を確認し、「接種していない」と回答した方に啓発活動を行った。啓発は厚生労働省の啓発資料(定期接種、キャッチアップ接種の2種)を活用し、対象者に合わせた資料にて実施した。啓発から1~3ヵ月後に、再度対象者にワクチンの接種状況を再来局時または電話で確認した。
【結果】
260名が回答し、そのうちワクチンを「接種した」と回答したのは102名、「接種する予定」は44名、「接種していない」は114名であった。接種していない理由として、「安全性への不安・副反応が怖いから」が70名と最も多かった。啓発活動後にワクチン接種状況を確認できた75名中、「接種した」と回答したのは3名で、「接種する予定」と回答したのは11名であった。
【考察】
今回の調査では、ワクチン接種者は102名(39%)と2021年度の国内接種率から大きな改善が見られず、ワクチンの普及活動の必要性が確認できた。未接種者3名がワクチンを接種し、11名はワクチン接種に対し、前向きな回答が得られたことから、薬局での啓発活動は接種率向上の一助となりうることが考えられる。また接種していない理由として多かった安全性への懸念については、過去のマスコミによる副反応に関しての報道の影響が大きいと思われ、その理由に対しての啓発方法を検討する必要があると考察する。