第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
在宅医療・医療連携

2024年11月3日(日) 14:00 〜 14:40 第7会場 (4階 414+415)

座長:狭間 研至(ファルメディコ株式会社 代表取締役社長/医療法人嘉健会 思温病院 理事長/一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)
副座長:初鹿 妙子(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 管理本部 人材開発部長)

[O-7-21] テレフォン服薬サポート®および投薬業務を契機にトレーシングレポート提出に至った事例比較

染谷 光洋1, 樋浦 一哉2, 西田 愛2, 吉田 莉子2, 川田 悠貴1, 石尾 有司1, 木下 隆市1, 山下 美妃2, 谷口 亮央1, 中島 史雄1 (1.(株)ナカジマ薬局, 2.北海道科学大学薬学部臨床薬剤学分野)

【目的】ナカジマ薬局では、1983年より疾患を制限せずテレフォン服薬サポート®(TS)を行っており、医療機関との情報共有ツールとしてトレーシングレポート(TR)を活用している。TSにより得られた情報に基づくTR(TEL/TR)と投薬業務時に得られた情報に基づき提出したTR(対面/TR)を解析し、双方が担う役割の違いを明らかにすることを目的とした。
【方法】2020/11~2021/10にナカジマ薬局が提出したTRを対象とし、症例背景、TR提出後の処方内容と薬剤服用歴を調査した。また、対面/TR、TEL/TRの報告内容をがん化学療法の副作用・アレルギー関連、情報提供関連、服薬アドヒアランス(DA)関連に分類し、比較検討した。
【結果】TR提出枚数・報告件数は、1,952枚・3,385件であり(1枚あたり複数件の報告がある)、対面/TRとTEL/TRはそれぞれ845枚・907件、907枚・2,478件であった。TRの報告内容を分析したところ、DA関連は、対面/TRが38.5%(349件)、TEL/TRは18.2%(452件)と対面/TRの方が有意に高かった(p<0.05)。また、副作用・アレルギー関連は、対面/TRが10.8%(98件)、TEL/TRは56.0%(1,387件)と、TEL/TRの方が有意に高かった(p<0.05)。また、TRにて処方提案を行い(対面/TR:355件、TEL/TR:140件)、提案通りに変更されたものが対面/TR34.6%、TEL/TR48.6%であった。
【考察】患者より情報を収集する方法・時期の違いにより、報告内容の分類に違いがあることが明らかとなった。対面/TR・TEL/TR双方を活用し、相補的に患者フォローアップをおこなっていくことがプライマリ・ケア実践の一助になると考える。