第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
在宅医療・医療連携

2024年11月3日(日) 14:00 〜 14:40 第7会場 (4階 414+415)

座長:狭間 研至(ファルメディコ株式会社 代表取締役社長/医療法人嘉健会 思温病院 理事長/一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)
副座長:初鹿 妙子(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 管理本部 人材開発部長)

[O-7-23] 薬局-病院間の垣根を超えた地域オンラインコミュニティが土台となり、地域医療介護連携ネットワークの活用がもたらした成果

瀬崎 由愛1,2, 立川 靖之1,3, 大幸 淳1,4, 高崎 桃花1,5, 山田 恭平1,6, 岸 真佐樹1,7, 上沢 陽子1,8, 菅野 浩4 (1.TYP-salon(TsurumiYoungPharmacist-salon), 2.(株)サエラ, 3.(株)キュアトライフル あろま薬局, 4.済生会横浜市東部病院薬剤部, 5.東京薬科大学薬学部, 6.(有)潮田薬局, 7.(株)スマイルファーマ のぞみ薬局下末吉店, 8.せんねん薬局)

【背景】
薬局業務において対物業務から対人業務への転換が推進されてきたが、2024年度の調剤報酬改定で対人業務の拡充が進み、トレーシングレポート(以下TR)による医療・介護の多職種への情報提供がますます評価されるようになった。
しかしながらTR提出後、病院からの返信に時間を要する、または返信がないこともあるため一方通行のやり取りに感じることも多い。横浜市鶴見区では10年以上にわたり薬局と病院に所属する薬剤師の定期的な交流が行われてきた。2019年より地域医療介護連携ネットワーク「サルビアねっと」で患者情報の共有を開始した。2022年より地域薬剤師間の顔の見える関係への深化を目指し、ウェブ会議システムを用いた「TYP-salon」を月2回開催し交流を図っている
【事例】
造影剤検査実施予定のメトホルミン服用中の症例について具体的な休薬期間が確認できなかったため、サルビアねっとに搭載されている施設間連携ツールを活用し、TRを送信した。サルビアねっと経由で具体的な休薬期間の返答とフォローアップ実施の指示の返信を受け、休薬前日にフォローアップを行い、休薬遵守に繋がり予定通りの検査を行うことができた。TRが薬局発信の情報提供ツールで終わらずに、薬局-病院間の双方向のやり取りが実現することで、医療機関、患者の不利益回避につながった。
【考察】
これまでの薬局薬剤師は、処方箋と患者からの聴取により得られる情報をもとに薬学的考察を行い指導・交付を行ってきた。TYP-salonを通じた薬局と病院の薬剤師の日常的なコミュニケーションにより、薬学的考察を行う上での不足情報を気軽に確認できる関係性の構築に繋がり、質の高い対人業務の実現が可能になると考えられる。地域において途切れることのない医療の提供には、日常的な交流による顔の見える関係の構築が土台になるものと考えられた。