第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(口演)

一般演題(口演)
在宅医療・医療連携

Sun. Nov 3, 2024 2:00 PM - 2:40 PM 第7会場 (4階 414+415)

座長:狭間 研至(ファルメディコ株式会社 代表取締役社長/医療法人嘉健会 思温病院 理事長/一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)
副座長:初鹿 妙子(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 管理本部 人材開発部長)

[O-7-24] 医療的ケア児に対する薬局薬剤師の無菌調剤対応と継続的支援の重要性

百目鬼 崇1, 小林 光夫2, 伊藤 将3, 長谷川 佳孝3, 月岡 良太3, 大石 美也3 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 桜川店, 2.十王店, 3.(株)アインホールディングス)

【目的】医療的ケア児の多くは経管投与や中心静脈栄養に際し、粉砕等の剤形の工夫や無菌調剤などが必要であることから、地域の薬局薬剤師が専門的な薬学的ケアを実施する必要がある。今回、当薬局の薬剤師が医療的ケア児の継続的な無菌調剤を行う中で、冬季における輸液の加温方法を提案した症例を経験したので報告する。
【症例】X年6月、短腸症候群による栄養吸収不良のために中心静脈カテーテルおよび胃瘻を造設した10歳未満の小児患者(以下、患児)に対して、当薬局が訪問薬剤管理指導を開始した。無菌的に高カロリー輸液に微量元素を混合し、調整した輸液バッグを真空パック処理して1週間に2回程度患者宅に配薬した。X年11月、患児の母親より「冷たい輸液を入れると寒くて震えている。夏場は冷蔵庫から出しておけば自然に温度が上がっていたが、冬場はどのように温めるのがよいのか」との相談があった。担当した薬剤師は、インタビューフォームやメーカーへの問い合わせにより、製剤の安定性に関する情報を収集し、投与直前での40℃程度の加温であれば問題なく投与できると判断して、母親に加温方法を説明した。輸液バッグは真空パック処理されており汚染のリスクが低いため、高カロリー輸液の外袋に40℃程度のお湯を入れ、その中に輸液バッグを置いて加温する方法を提案した。処方医には報告書でこの提案を報告した。加温後、患児が震えを訴えることはなくなり、その後、母親は冬季には同じ方法で加温を継続した。X +2年、患児はテデュグルチド皮下注を開始し、腸での栄養吸収が改善され、X +3年には輸液が不要となった。
【考察】本症例では、約3年に渡る継続的な無菌調剤対応を行う中で、薬局薬剤師が収集した製剤の安定性等の情報に基づき薬学的判断を行い、母親に加温方法を提案することで、患児のQOL向上に貢献した。今後も薬剤師の専門性を発揮しつつ、医療的ケア児の継続的な支援に努めていきたい。