第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
薬剤師職能

2024年11月2日(土) 14:10 〜 15:00 第7会場 (4階 414+415)

座長:緒方 直美(さくら薬局グループ クラフト株式会社 教育研修部 専門薬剤師・DI課 課長)
副座長:尾上 洋(株式会社ファーマシィ 学術支援部 部長)

[O-7-5] 降圧薬による支持療法中のレンバチニブ服用患者における服薬継続に及ぼす影響

中村 僚宏1, 前田 守2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 酒田店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】抗がん剤の一つであるレンバチニブ(LVB)は高血圧症の発現率が高い一方、その発現は治療転帰の改善に関連するとされる(Wirth LJ, et al. Cancer. 2018: 124; 2365-2372.)。本研究では支持療法として降圧薬が調剤されたLVB服用患者の服薬継続に影響する因子を明らかにすることで、薬局薬剤師の果たすべき役割について考察した。
【方法】2019年1月~2023年11月に継続して開局していた当グループ保険薬局701店舗の匿名加工済調剤レセプトデータを用い、過去に降圧薬の調剤歴がなく2020年5月以降にLVBが初回調剤された患者を抽出した。服薬継続期間内における降圧薬の調剤有無で降圧薬群と非降圧薬群に分け、服薬継続率をカプランマイヤー法及びログランク検定で解析した後、降圧薬群に対し服薬継続期間を目的変数、かかりつけ薬剤師の有無、LVB減量有無、LVB初回用量、年齢層、性別を説明変数としてCox比例ハザードモデルで解析した(有意水準0.05)。なお、服薬継続期間はLVB初回調剤日からLVB最終調剤日またはギャップ発生直前の調剤日までの日数に最後のLVB処方日数を加えた値、ギャップ発生は2023年11月30日までにLVB処方日数の1.5倍以上後に次回のLVB調剤が生じた場合とした。(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0234)。
【結果】降圧薬群(279名、中央値63日 [95%信頼区間: 54-77])の方が非降圧薬群(187名、中央値35日 [28-42])より有意に服薬が継続した。また、Cox比例ハザードモデルから、かかりつけ薬剤師あり(ハザード比 0.39 [0.21-0.71] )、LVB減量あり(0.56 [0.43-0.74])が降圧薬群の服薬継続延長に有意に影響した。
【考察】降圧薬の併用、かかりつけ機能の発揮及びLVB減量が、LVB服薬継続期間の延長に寄与する可能性が示唆された。したがって、薬局薬剤師はこれらの知見を考慮し、かかりつけ機能の発揮を通じてLVBの治療継続に貢献することが重要と考える。