[O-7-8] 認知症家族介護者の問題点
【目的】2060年に日本における高齢化率は39.9%になると予想されていて、それに伴い認知症患者数も2022年443万人が2030年には523万人になると予想されている。厚労省は2015年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定し、その中の1つに認知症の介護者の支援が謳われている。しかし患者対策に比べ介護者の支援策はあまり検討されていない現状がある。認知症患者の約半数は自宅で家族等からの介護を受けている中、どのようなサポートを家族介護者が求めているかを調査した。【方法】認知症患者の家族介護者に対し、介護者が感じる介護ストレスとその要因に関するアンケート調査を実施した。アンケートは「公益社団法人認知症の人と家族の会石川県支部」「同岡山県支部」「若年性認知症の人と家族と寄り添い紡ぐ会」の3団体を通じて依頼した。アンケートは無記名とし金沢大学倫理審査承認後に実施した。【結果】回答は家族介護者32名(うち2名が認知症患者2名を介護)より得られた。今回の調査においてみられた患者の症状としては、記憶障害、見当識障害、幻覚幻聴、無気力無関心、徘徊、暴言等が上位であったが、介護者がストレスに感じる事としては、睡眠、コミュニケーション、食事、移動、排せつ、無気力・無関心が上位であった。一方、医療・福祉等の相談者としてはケアマネ、家族、医師との回答が多く、今回のアンケートで薬剤師との回答はなかった。相談場所としても薬局という回答はなかった。その他の内容については発表時に報告する。【考察】介護者のストレスの解消や介護に関する相談者・相談場所として薬剤師や薬局との回答が無かったことから、今後は薬剤師や薬局が認知症の介護者に対して働きかけを積極的に行うべきである事が示唆された。使用薬剤の事だけでなく、薬剤師や薬局が生活全般の相談者・相談場所としての機能を持ち合わすためにどうすれば良いかを今後考えたい。