第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
薬局機能・IT化・薬歴管理

2024年11月2日(土) 15:10 〜 16:00 第7会場 (4階 414+415)

座長:西村 佳子(総合メディカル株式会社 学術情報部)
副座長:風間 卓巌(株式会社アイセイ薬局 薬局営業推進部 課長)

[O-7-9] 服薬期間中の効果的なフォローアップ手順に関する研究~トレーシングレポート作成支援シートの活用~(第1報)

富永 佳子1, 鈴木 雅基2, 平崎 喜朗3, 光谷 良太4, 西澤 諒5, 宮沢 憲太6, 工藤 知也7, 山下 恵7 (1.新潟薬科大学 社会薬学研究室, 2.(株)エムシード, 3.(株)メディック太陽 メッツ西新発田薬局, 4.(有)さど調剤グループ, 5.(有)さど調剤グループ 佐渡薬品薬局, 6.(株)エーアンドエム しなの薬局市民前店, 7.(株)カケハシ)

【目的】トレーシングレポート(TR)を作成する際に確認・記載事項の要点などがチェックできる『TR作成支援シート』(TRひな形含む)を用いることによって、TRの作成枚数や内容、薬局薬剤師の業務負荷の変化などについて検討を行う。
【方法】領域別の『TR作成支援シート』4種(抗コリン薬、メトホルミン、緩下薬、睡眠薬)を作成し、4法人の協力薬剤師に対してTR作成時における活用を促した。実施期間は2023年3月~8月とし、その間のTR作成枚数について同一店舗における実施前(2022年8月~2023年1月)のものと比較した(4領域および全製品)。また、実施期間終了後に協力薬剤師に対して『TR作成支援シート』の活用の有無、今後の使用意向などに関するアンケートへの回答を求めた。
【結果】本研究実施期間におけるTR作成枚数は、4領域では72枚であり、実施前の13枚と比較して5.5倍に増加した。全品目では実施期間中294枚、実施前287枚と大きな違いはなかった。『TR作成支援シート』を使用した薬剤師の70%が「役立った」「とても役立った」と回答し、記載が簡便だった(52%)、薬の効果や副作用の確認が容易にできた(48%)などの声があった。今後については、協力薬剤師の60%が「利用したい」「とても使用した」と回答した。
【考察】全品目におけるTR作成枚数の変化はほとんどなかったものの、本研究の対象領域では5.5倍と大きな変化が見られ、『TR作成支援シート』の存在がTR作成促進に何らかの影響を与えたことが示唆される。同シートの設計についてはすべての薬剤師から賛同が得られたわけではないものの、職種間連携を通じた質の高い薬学的ケア、個別化対応の実践を目指す上で、疑義照会以外の主治医へのフィードバックのよりよいあり方を志向するきっかけにつながることが期待される。