第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-002-B] かかりつけ薬剤師としての継続した関わりが患者の認知機能低下時の早期対応となった症例

鈴木 麻衣子, 竜田 都加, 奥田 加純, 牛谷 昇平, 前出 涼平 ((株)ココカラファインヘルスケア ココカラファイン薬局ミタス伊勢店)

【目的】患者のための薬局ビジョンが2015年に策定され、かかりつけ薬局・薬剤師制度が導入となり地域包括ケアシステムの構築が推奨されている。2024年度調剤報酬改定ではかかりつけ機能の強化が柱となり、薬剤師の対人業務は評価されている。今回かかりつけ薬剤師として8年ほど患者と継続的に関わってきたことで認知機能低下に気づき、専門医療機関・地域包括センターへのつなぎとなった症例を報告する。
【症例】70歳代、女性、夫と二人暮らし。8年前にかかりつけ薬剤師となった。当初薬は一包化をしてお渡ししており、本人管理でアドヒアランスはほぼ良好であった。定期的にジムに通い身だしなみは整っていた。1年前にかかりつけ医を変更、その頃から飲み忘れが増え始めたため薬カレンダーでの管理に変更した。それにより飲み忘れは少し改善したが、転倒して頭を打つことがあること、ジムに通う回数が減っていることを聴取し、頭髪の乱れも確認したため患者と患者家族に専門医の受診勧奨を行った。その後受診し認知症治療薬の投薬が開始された。かかりつけ医には状況を報告しH2ブロッカーの投与継続の検討を依頼し、PPIに変更となった。また高齢者二人暮らしのため、今後サポートが必要になった時スムーズにサービスを開始できるように地域支援センターに状況を伝え患者宅の訪問を依頼し、要支援1が認定された。
【結果・考察】本症例では、かかりつけ薬剤師として患者と継続して関わってきたことで変化に気づき、問題点に対して早期に適切な対応ができたと考える。かかりつけ薬剤師は患者の中長期的な変化に気づける立場である。高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した生活をおくれるよう、地域包括ケアシステムの一員としてかかりつけ薬局・薬剤師の役割は大きいと考える。