第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-009-C] 大腸がん化学療法中の嘔吐症状に対し保険薬局からの情報提供により抗がん薬の支持療法が追加に至った1例

橋本 好恵 (アポクリート(株) アポック川越センター前薬局1号店)

【目的】
2020年に連携充実加算および特定薬剤管理指導加算2が新設されて以降、薬局薬剤師が外来化学療法を行う患者に対しサポートする機会が増えている。今回、薬局薬剤師が大腸がん術後補助化学療法を実施した患者の急性期嘔吐症状に気付き、支持療法が追加となった症例を報告する。
【症例の概要】
50歳代女性、StageIII、大腸がんの術後補助化学療法として、CAPOX(オキサリプラチン+カペシタビン)療法を開始。1コースDay 1の来局時、連携充実加算に基づく情報提供文書より、パロノセトロン塩酸塩点滴静注0.75 mg、デキサメタゾン注6.6 mgが投与されていることを確認し、中等度催吐性リスクに基づく支持療法が行われていると判断した。同日、メトクロプラミド錠が頓服(吐気時)で処方された。1コースDay 7、メトクロプラミド錠を1日3回服用するも、点滴後からDay 2まで嘔気が続き食事が摂れなかったと電話で聴取し、嘔気Grade 2と評価した。Day 7時点では悪心や嘔吐は落ち着いていた。同日医師に対して、制吐薬適正使用ガイドラインを参考に、2コース目以降の急性期嘔吐を予防するため、アプレピタントの処方提案を服薬情報提供書で行った。2コースDay 1、提案が受け入れられ、アプレピタントが処方された。2コースDay 4、メトクロプラミド錠を1日1~2回服用し、嘔吐することなく過ごしていると電話で確認した。3~4コースも同じ制吐療法を行い、予定4コースを完遂した。
【考察】
薬局薬剤師がテレフォンフォローアップと服薬情報提供書を活用して医療機関と連携することは、医療の質の向上に有用である。特に外来がん化学療法においてはレジメン名、ガイドライン、有害事象を把握したうえで症状を聞き取り、的確に評価して医療機関に情報提供することで医療に貢献できることが示唆された。