第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-012-C] うつ病患者に対する薬剤師のスティグマおよび理解度の現状と課題

松原 つぐみ1, 三國 貴志2, 佐藤 尚之2 (1.みよの台薬局(株) みよの台薬局 大泉学園店, 2.みよの台薬局(株))

【目的】うつ病患者の服薬継続については、薬剤師の適切な服薬指導・フォローアップが重要である。第17回日本薬局学会において我々は、多くの薬剤師が「うつ病看護ガイドライン」で提示されている「疾患や症状の理解・受け入れの援助」について十分に行えていないことを明らかにした。今回その要因を明らかにし、服薬指導の質をより高めるための方策の検討を目的として、薬局薬剤師がうつ病患者に抱くスティグマ(ステレオタイプ化、先入観など)およびうつ病に対する理解度について調査した。
【方法】みよの台薬局の東京地区に勤務する薬剤師91名を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は、岸本らの方法(医療薬学42(12) 795-808 (2016))に従い、うつ病患者へのスティグマ(8項目)およびうつ病への理解度(16項目)とした。回答は「1 全くそう思わない」「2 あまりそう思わない」「3 どちらとも言えない」「4 ややそう思う」「5強くそう思う」の5段階の選択方式とし、点数が高いほどスティグマおよび理解度が高いと判定した。
【結果】86名から有効回答を得た。スティグマに関する質問のうち5および4の回答が多かった項目は「うつ病患者と話すことに難しさを感じる」64名(74%)、「うつ病患者は予測できない行動をすることがある」61名(71%)などであった。理解度に関する質問のうち5および4の回答が少なかった項目は「うつ病はほかの病気と同様の疾患である」41名(48%)、「うつ病は脳の疾患である」41名(48%)「抗うつ薬により脳の機能は改善する」43名(50%)であった。
【考察】うつ病患者に対して薬局薬剤師が抱えるスティグマがうつ病患者への適切な援助を妨げている一因と考えられた。一方で、うつ病の病態などについては理解が十分ではないという結果も得られており、薬局薬剤師が「疾患や症状の理解・受け入れの援助」を適切に行うために、まずは病態について理解を深める必要があると考えられる。