第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-020-B] レセプトデータを用いた適切な吸入薬指導のアドヒアランスに関する後ろ向きコホート研究

金野 夏子1,2, 木下 直己1,2, 小納谷 洋平1,2, 金指 伴哉1,2 (1.薬樹(株), 2.(株)プレサスキューブ)

【目的】令和2年度診療報酬改定において、薬局における対人業務の評価の拡充として吸入薬指導加算が新設された。その取得には、吸入薬の使用方法について、医師の指示のもと患者に対して文書および練習用吸入機器を用いた実技指導を行うことが要件となる。本研究の目的は、当加算を算定した群と算定していない群のアドヒアランスを比較することで、適切な吸入薬指導が患者のアドヒアランス向上に寄与しているかを定量的に明らかにすることである。【方法】 薬樹(株)が運営する保険薬局150店舗の2022年4月1日~2024年3月31日の期間の匿名化レセプト請求データを用い、吸入薬が処方された患者の中より、初回に吸入薬指導加算を算定した患者と算定していない患者を抽出し、アドヒアランスの評価として服薬継続期間中央値 (服薬を継続している患者の割合が50%に低下するまでに要した日数)を用いて比較を行った。統計ソフトEZRを用いて、Cox比例ハザードモデルを用いて統計解析を行った。【結果】初回に吸入薬指導加算を算定した群(症例群)は97人であり、算定していない群(対照群)は5,252人であった。各群の服薬継続期間中央値は、症例群で75日、対照群では30日であった。ハザード比は0.7581(p<0.05)であった。症例群は対照群に対して、アドヒアランスの改善がみられた。【考察】練習用吸入機器を用いた適切な吸入薬指導を実施できれば、患者の吸入薬使用の適正化が促進され、アドヒアランスの向上に寄与する可能性が示唆された。