第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:50 PM - 2:30 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-023-B] 抗認知症薬が処方されている薬剤服用歴管理記録の解析により認知症の兆候を探る

星 久恵1, 酒井 理恵2, 廣田 敬典3, 村内 智士4 (1.(株)フロンティア 東北支店, 2.日立店, 3.和歌山日赤前店, 4.中四国支店)

【目的】
認知症の人の数は、2025年には約700万人にのぼると言われている。薬物治療を通して患者と接する薬局薬剤師は、認知症の兆候にいち早く気がつき、早期発見・早期治療へつなげる役割が期待されている。そこで、抗認知症薬による処方開始前の薬剤服用歴管理記録(以下、薬歴)の解析を行い、一般的に認知症の特徴と理解されている物忘れ等の他、薬局ならではの「気づき」がないかを検討する。
【方法】
2022年1月から2022年12月の期間、(株)フロンティアの抗認知症薬の処方出庫の多い23薬局において、認知症の治療歴のない、初めて抗認知症薬が処方された患者の薬歴を抽出した。処方開始前の、薬歴を過去3年分遡り、併用薬を含む薬歴記載内容の解析を行った。
【結果】
該当した薬歴は194件だった。気になる兆候として、本人来局頻度の低下および生活習慣病の既往が多くあった。来局頻度では、処方開始前の過去5回、継続受診が確認できる症例94件のうち、5回とも本人が単独来局した症例は34件と半数以下であった。認知症のリスク因子となる高血圧等の生活習慣病は、194件のうち132症例で確認された。一般的な認知症の特徴である記憶障害、見当識障害、または徘徊や幻視など、早期発見につながるような訴えを確認したものの、処方開始までに1カ月以上、最長約2年の期間を要した症例は41件であった。
【考察】
本検討では本人以外の受け取り症例が多く、薬局薬剤師が患者の様子を確認できる機会は少なかった可能性がある。しかし、検査値や食習慣等、服薬指導の話題にしやすい生活習慣病併発症例が過半数を占めていたことから、短時間の会話においても変化に気がつくきっかけがあると推測する。認知症の兆候となりうる変化に気がついた際は、トレーシングレポート等を活用して早期発見につなげ、認知症の人の生活の支えになる取り組みを行っていきたい。