第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-028-A] 同一医療機関での多科受診における一元管理により減薬提案に至った2症例

大野 雄貴 (クオール(株)クオール薬局下若店)

【目的】厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」で、高齢者は多くの疾患を抱えており、複数の医療機関で治療を受けることが多いため、ポリファーマシーや漫然投与が問題視されている。薬局での一元管理や処方の確認が求められるものの、実際の服用薬剤調整支援料の算定率は0.003%(社会医療診療行為別統計2022年6月)と低値である。今回、同一医療機関での多科受診における一元管理と継続的フォローアップで、減薬に至った2症例を報告する。【症例1】70歳代男性、A病院・内科で専門性の異なる医師(B医師、C医師)に受診し、多剤併用となっていた。患者本人と家族の減薬希望に応え、B医師処方でジアゼパム錠2mgの漫然投与の疑い、C医師処方で広義同効薬の重複処方(PPIとポラプレジンク)について、各医師に減薬提案を実施した。結果、両医師に提案は採用され減薬に至った。その後も患者の睡眠状況は良好であり、胃腸症状の再燃もなく状態は良好に保たれた。【症例2】70歳代男性、肝細胞がん治療のためA病院消化器内科でレンバチニブメシル酸塩カプセル8mg/日を開始したところ、血圧が上昇し、高血圧管理をしていたA病院内科で降圧薬が2種類追加となった。その後、レンバチニブメシル酸塩の副作用で一時入院となり、4mg/日へ1段階減量となった。しかし、内科で降圧薬の2剤追加は継続されたことから、家庭血圧推移の把握が必要であると判断し服薬フォローアップを実施した。消化器内科の診察予定日の朝に、血圧がやや低めで立ち眩みがあると電話相談を受け、内科への受診勧奨したことで、降圧薬が2剤中止となった。その後、服薬アドヒアランスは良好で家庭血圧は安定した。【考察】本症例を通して、同一医療機関内の多科受診においても薬局での一元管理の重要性が示唆された。今後も薬局薬剤師として一元管理に努めて、患者のための処方適正化に貢献していきたい。