第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-029-B] 薬剤師の介入による糖尿病患者の治療意識の変革 -HbA1c値の改善後に-

長岐 眞佑, 原田 義主, 原 和夫 ((株)わかば)

【目的】糖尿病患者に対して服薬指導を行う際は検査値や薬剤に焦点を当てることが基本だが、生活習慣の改善や合併症・フレイル予防も考えた指導を行うことも必要である。本症例は生活面へ一歩踏み込んだ介入をしたことで、治療意識の向上に成功した例である。すべての薬剤師が将来的にかかりつけ薬剤師として活躍していくことを見据え、服薬指導を行う際の参考になればと思い本症例を共有する。
【症例】70代男性、2型糖尿病。X年5月HbA1c8.0%台前半で治療開始し、食事療法の指導により6.5%まで低下した。X+1年12月さらなる改善を期待してエンパグリフロジン・リナグリプチン配合剤(2)錠をセマグルチド(遺伝子組換え)錠3mg、エンパグリフロジン錠25mgに変更。セマグルチド(遺伝子組換え)錠は7mg、14mgと段階的に増量した。X+2年5月時点でHbA1c値6.0%台後半に推移しているが、医師からは目標値を6.5%に設定されている。患者からの聞き取りで治療に対する意識の低下が見受けられ、生活習慣に関して食事を中心に管理が疎かになっていた。治療意識の改善のため次の具体的な行動を提案した。1. 歯周病の原因や症状を説明し意識向上を実施。2. 眼科で網膜症の有無を確認する。3. 間食の制限と献立の見直し。これらの指導と受診勧奨を行った。歯科、眼科共に受診で異常は認められず、受診後は治療意欲に前向きな変化が見られた。また、合併症に対する意識をもつようになり、服薬指導中に生活習慣や糖質やカロリーに対する質問が増えた。
【考察】本症例は、生活習慣に対する薬剤師の継続的介入の必要性を示した事例と考える。コントロール不良の背景には様々な要因があり、患者の意識や生活様式も変化するため同じことを再確認することも大きな意味がある。更に高齢患者の場合は合併症に加えフレイルなどにも注意が必要であるため、将来を見据えた情報提供が求められるという点でもかかりつけ薬剤師の役割はとても重要である。