[P-030-C] 下甑島において求められる薬局・薬剤師の機能と役割
【目的】現在、離島・僻地等での医療のあり方が課題として指摘されている。下こしき薬局(以下、当薬局)のある下甑島は、交通・通信環境が十分に整備されてはおらずICT技術を活用したオンライン服薬指導も患者来局においても困難が生じる。医療従事者や医薬品確保、情報共有の面においても難がある。現時点での下甑島での課題は離島・僻地全体の課題であるといえる。そこで、下甑島の住人及び医療従事者に対して薬局・薬剤師として必要とされる機能・役割について検討したので報告する。【方法】調査期間は2024年5月1日~31日。調査対象は調査期間に処方箋を応需した患者と、手打診療所スタッフとした。調査項目は、下甑島で薬局・薬剤師に求める機能・役割について16項目のアンケートとした。【結果】アンケートは患者45名、医療従事者16名からの回答を得た。患者の求める機能としては「服薬状況や効果・副作用などの継続的な確認(44%)」が最も多く、以下「処方内容の医師への確認(38%)」、「薬の詳細な説明(31%)」、「服用薬剤の一元管理、飲み合わせの相談(27%)」、「薬の配達(27%)」であった。医療従事者の求める機能としては「飲み忘れ防止、残薬調整などの支援(75%)」、「処方内容の医師への確認(75%)」であり、以下「重複投薬の防止、医薬品・食品との相互作用 (63%)」であった。一方で「オンライン投薬」は患者(4.4%)、医療従事者(12.5%)であった。【考察】今回の結果より患者、医療従事者ともにオンライン服薬指導に対するニーズは低かった。一方、患者ニーズが高かったのは服用薬剤の一元管理・効果、副作用などの継続的確認や、医師への確認などの医療機関との連携に該当する部分であり、かかりつけ薬剤師としての機能が求められていることが推察された。また、医療従事者は医薬品の情報提供に対するニーズが高かったことより、薬剤師としての専門性の発揮への期待が示唆された。