第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-031-A] 薬局薬剤師による、患者紹介状を用いた、患者の受診サポートが治療方針の決定に寄与した事例

木下 泰成 (ウエルシア薬局(株) 和泉和気店)

【背景】
継続的な服薬フォローアップを行う中で、薬剤師が患者の体調変化に気づく機会が増加しており、トレーシングレポートに加え、薬学的知見に基づく的確な対応が求められている。薬剤師による患者紹介状の活用は、医師と患者間の情報共有を補完し治療の最適化に寄与する可能性がある。今回、患者紹介状が治療方針の決定に寄与した症例を報告する。

【症例概要】
20歳代女性。アレルギー性鼻炎や偏頭痛の現病歴があり、複数の薬を服用している。7日前よりめまいの改善を目的にベタヒスチンを併用していたが、動悸と脱力感を訴え救急搬送。ナルコレプシーの疑いがあると診断され、脳神経専門医の受診を勧められた。

【介入】
救急受診後、専門医受診にあたり患者から薬局に相談があった。薬剤師が救急搬送までの経過や服用薬の情報に加え、患者の表現により、カタキプシー症状と聞こえる症状があったが、日頃の来局時に聴取や観察から、当該症状とは異なると解される患者情報も参考意見として含めて紹介状を作成した。

【結果】
専門医の診察時に、患者からの説明ではナルコレプシーを一旦考慮されたが、紹介状によりパニック発作の可能性が検討され、治療方針が変更になった。治療開始後、患者の発作的な症状は消失し、服薬フォローにおいても経過は良好で、自覚する副作用もなく体調も良好である。

【結論】
患者紹介状による介入がなければ、ナルコレプシーの治療が開始され、不要な治療リスクが生じた可能性がある。薬局薬剤師による受診サポートが治療方針の決定に寄与し、患者の治療上の利益につながったと考えられる。接遇時に体調などの情報収集を行い、患者から医師への情報伝達を患者紹介状として補完することにより、適切な診断につなげることが出来ると考えられる。本症例は、薬剤師が適切な医療情報を提供し、受診に不安を抱える患者と医師の間の情報伝達をサポートすることの重要性を示している。