第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-032-B] 軽度認知障害(MCI)と認知症の早期発見を目的とした簡易チェックシートによるスクリーニングと受診勧奨の実践

熊野 友哉1, 河村 保子1, 野村 拓夫2, 河野 美智子1, 國友 歩1, 宮原 葵1 (1.I&H(株) 阪神調剤薬局 博多駅ビル店, 2.のむら内科・神経内科クリニック)

【目的】認知症は早期治療により、症状の進行を遅らせることができる。MCIは未治療の場合、認知症へ移行することもあるが、早期治療を行った場合、16~41%が健常状態へと回復する可能性があると「認知症疾患診療ガイドライン2017」に示されている。MCIと認知症の有病者を保険薬局にて早期発見し、早期に治療を開始することを目的に、簡易チェックシートによるスクリーニングと専門医への受診勧奨をする取り組みを実施した結果を報告する。【方法】2024年3月25日~5月31日に当薬局に来局した患者のうち、MCIや認知症の診断または治療をされている方を除いたすべての65歳以上の患者を対象に、日本認知症予防協会の「自分でできる!かんたん認知症チェック」によるスクリーニングを実施した。スクリーニング結果が10点以上の患者に対し、受診勧奨を実施した。また、本研究への参加状況、スクリーニング結果の内訳と人数、受診勧奨の実施人数、診断結果の内訳と人数、診断された認知症の種類の内訳と人数について解析した。【結果】スクリーニングを実施した236名のうち、9点以下が201名、10~15点が29名、16点以上が6名であった。10点以上の患者35名のうち、受診勧奨を実施できたのは8名であり、6名が受診を希望した。このうち、実際に受診できたのは家族の協力を得られた1名のみであり、受診の結果、MCIの診断を受けた。【考察】スクリーニングの結果、認知機能の低下の可能性があると思われる患者は35名であり、スクリーニングを実施した患者の15%であった。1名のMCI状態を早期発見できたことから、保険薬局において、MCIと認知症の早期発見に関する取り組みを実施する意義はあると考える。また、診察を受け、MCIの診断を受けた患者は、受診勧奨も家族の協力があったことから、受診勧奨にはスクリーニングの結果だけでなく、ご家族の理解と協力を得ることが必要であると示唆された。