第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-043-A] 薬局薬剤師の気づきおよび介入により認知症治療および要介護認定につながった事例

佐野 公恵, 山田 佳代子 ((株)メディカル一光 フラワー薬局三国店)

【はじめに】
認知症患者は2025年には約700万人になると推測されている。認知症は早期発見・早期対応をすることが適切な医療や介護へつながり、「できる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができる社会」の実現への一歩となる。本発表では、患者の言動から認知機能低下を疑い介入した結果、認知症治療が開始、要介護認定を受け、生活を維持できた症例を報告する。
【症例概要】
70歳代女性で、当局を初めて利用された。その言動から近似記憶障害、見当識障害といった認知機能低下を疑う症状が確認できた。しかし、処方内容から認知症は未治療であり、独居で家族も未介入であることが推測された。早急な専門医療機関への受診、家族もしくは多職種による生活サポートと服薬支援が必要であると考えた。
まず認知機能低下への対応として、生活状況を把握しキーパーソンとなる実妹に神経内科への受診勧奨を行った。後日息子が付き添い神経内科を受診、アルツハイマー型認知症の診断を受け、認知症治療薬による薬物治療が開始された。過剰服用などもあり、本人による服薬管理は困難と判断、一時的に実妹に服薬管理を依頼したが、多職種連携の必要性があった。かかりつけ医へは生活状況を情報提供し、処方見直しを提案した。診断を受けた事で要介護1の認定を受け、通所サービスなどが開始された。また、ケアマネと連携し服薬管理を支援、ヘルパーによる服薬見守りとなり服薬状況は改善した。現在も住み慣れた地域において生活が維持できている。
【考察】
認知機能低下を疑った際、身近に家族はなく社会的孤立が懸念された。キーパーソンとなる家族とつながれたことでその後の介入が進み、本患者におけるよりよい生活の維持と認知症の進行抑制に貢献できたと考えられる。薬剤師の視点より早期に気づき、介入していくことは、今後の高齢社会において薬局薬剤師の重要な役割になると考える。