[P-046-A] 地域包括支援センターを対象とした認知症に係る困りごと調査により確認された地域課題について
【目的】認知症の人との共生社会実現に向け2023年6月に認知症基本法が成立した。各地域が認知症施策を行う中で、対応困難な事例にも直面すると考えられる。本研究では、地域包括支援センター(以下、包括)に対して、認知症の困難事例についてアンケート調査を実施し、地域が抱える問題を抽出し、認知症研修認定薬剤師(以下、認定者)がどのような対応策を講じることができるか考察した。【方法】2024年5月より認定者6名がそれぞれ包括を訪問し、アンケート調査実施。職種、経験年数と、対応に苦慮した事例を「服薬」3項目、「生活」7項目、「症状・疾患」4項目、「その他」から選択(複数選択可)し、その詳細を自由記述にて記載するよう依頼した。(日本薬局学会倫理審査委員会承認番号24008)【結果】包括16施設、スタッフ45人より回答取得。「もの忘れ」「薬が飲めない」「診断・検査の拒否」の順に回答が多かった。職種別の回答は、看護師で「薬が飲めない」「近隣トラブル」が同数、次いで「薬の飲み過ぎ」となり、他職種は全体の結果と同じであった。自由記述にて、もの忘れによる関係構築の苦慮、身の回りの物の紛失、一包化やお薬カレンダーでは服薬困難、病識欠如、介入拒否などが報告された。【考察】確認された問題の多くは放置することで認知症悪化を招くと推測された。服薬関連では一包化などの基本的な対応では解決しない事例が複数確認され、これらに対して認定者が当該担当者と連携した上で専門性を発揮し、用法変更などの処方提案を個別に対応することで解決の一助となる可能性が考えられた。問題の中には、認定者が過去に実施した個別対応が流用可能と予想される問題もあったが、薬局の中だけでは知り得ない問題も存在していた。事例収集と多職種連携での対策検討を続け、解決に結びつく好事例を今後もより多く集積し、それらを社内外へ発信していくことは、共生社会の実現への一助となると考える。