第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-047-B] トレーシングレポートを通じて皮膚障害を訴える患者に早期対応できた症例について

坂本 加奈 (I&H(株) 阪神調剤薬局和歌山日赤店)

目的外来がん化学療法を受ける患者増加に伴い、保険薬局では患者が治療を安心、安全に継続できるよう適切なフォローアップ(f/u)や病院薬剤師との密な連携が求められている。外来化学療法の患者に対し、副作用を早期発見し、薬薬連携を行い治療継続できた事例を報告する。症例事例1、60代男性、大腸がん、FL+Pmab療法、ミノサイクリン塩酸塩錠50mgを内服、ヘパリン類似物質ローションを使用している。爪囲炎Grade1の訴えに対し、トレーシングレポート(TR)にて外用ステロイド薬の処方を提案し、患者には保湿剤の継続使用も指導した。採択され、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏処方あり、その後爪囲炎悪化はなく治療継続できている。事例2、60代男性、大腸がん、CAPOX療法、好中球減少でカペシタビンは3000→2400mg/dayに減量している。手足症候群Grade1に対し、クリームタイプの保湿剤を使用。べたつきが気になり使用していないことを聴取。TRにてローションタイプなど別剤形変更を提案、後日スプレータイプの保湿剤が処方され、アドヒアランス向上、症状悪化なく継続使用できている。結果副作用の兆候を早い段階でとらえ、適切な聴取、エビデンスに基づく薬学的介入および病院への報告を行い連携してf/uすることで副作用症状の増悪なく、Grade1で維持し治療継続が可能となった。考察・結論皮膚障害は痛みや痒みなどの症状、外観の変化によりQOLを損なう上に日常生活に支障をきたし、抗がん剤の減量や中止を余儀なくされることもあるため、皮膚ケアや皮膚障害のマネジメントは重要な役割を果たすと考えられる。外来がん化学療法において身近な存在である保険薬局薬剤師として、日常生活の問題点を把握することで副作用の早期発見が可能となったと考える。また、薬薬連携による患者の服薬情報の一元的・継続的な把握により、適切な服薬指導に繋がったと考える。I&H学術研究倫理審査委員会、APL0002-24002