[P-048-C] 茨城県県北地域に在住する患者の残薬認識からの模索
【目的】茨城県県北地域は東日本大震災の被災地で、近年も台風や線状降水帯による自然災害で甚大な被害を受けた。災害時には受診行動が制限され、残薬での対応が必要となる場合がある。しかし、過剰な残薬は医療保険財政を圧迫している側面がある。本調査では、被災地に在住する患者の残薬への対処状況を把握し、薬剤費削減と災害医療に薬剤師が果たすべき役割を検討する。【方法】2024 年4 月に当薬局利用者100 名を対象に質問紙調査を行った。質問項目は年代と性別、「残薬調節が必要と思う残量」を5区分から選択式、「医師への残薬相談の意向」「薬剤師への残薬相談の意向」は1から5点で高得点が望ましい結果となるように得点化した。結果は「60歳未満」「60 歳以上」に分け、Fisherの正確確率検定とU検定を行い、p<0.05を有意差ありとした。【結果】60歳未満49 名、60 歳以上51 名から回答を得た。Fisherの正確確率検定の結果、「60歳未満」では「1 か月以上」、「60 歳以上」で「1 週間分」に有意な関連性を認めた(p=.004)。また「医師への残薬相談の意向」は60歳未満で3.67±1.50点、60歳以上では3.32±1.50点であった。「薬剤師への残薬相談の意向」は60歳未満で3.60±1.58点、60歳以上では3.66±1.53であった。U検定の結果、年代による得点に有意差はなかった。【考察】 60 歳未満では1 か月以上の残薬で相談行動に移る可能性が高く、災害時の猶予はあるが過剰残薬感は否めない。また60 歳以上では1 週間分の残薬で相談行動に移る可能性が高く、短期間での残薬調整にて薬剤変更に対応できるが、被災時に持病の薬がない状況が起こりうる可能性がある。防災の観点や医師の残薬対処業務の軽減のためにも薬剤師を薬の相談窓口としてより認識してもらう必要がある。そのためにも健康サポート機能の向上が必要とされ、地域特性に応じた服薬支援の実践が地域貢献にも繋がると考える。