第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-050-B] 酸化マグネシウムによる薬疹が発生した1事例

箙 祐司 ((株)南山堂 学術研究委員会)

【目的】
酸化マグネシウム製剤は便秘治療薬として広く使われており長期に服用を継続している患者数は多い。その一方で2008年に重大な副作用として高マグネシウム血症が添付文書に記載され、2015年にはPMDAより適正使用に関するお願いとして情報提供がなされている。
場合によっては重篤な転帰をたどる症例もあり死亡・または死亡の恐れがあるとの報告もある。そのような状況の中で薬剤師として患者の病態変化からの指導と受診勧奨を行った結果として、マグネシウムに対する薬剤過敏症状を発現した事例を経験したので報告する
【症例】
70代男性、基礎疾患に高血圧 高コレステロール血症があり処方薬はテルミサルタン、アトルバスタチン、アムロジピン、酸化マグネシウムだった
背景:仕事での薬品暴露・屋外での作業なし
経過:酸化マグネシウムを便秘時のみ複数回服用したところ蕁麻疹症状が発現した。治療として抗ヒスタミン薬を開始したが改善せず、一か月後ステロイド内服薬が投与された。翌月、さらに角化症治療薬とステロイド軟膏を塗擦開始したが改善せず、頭部にも皮膚症状が発現した。徐々に皮膚の角質化が進行し、初回+6か月後、頭部、腕、手の平、腹部などに剥離性皮膚炎症状があった。難治性皮膚炎の可能性が示唆されたため専門医へ受診勧奨したところDLST検査にて酸化マグネシウムが陽性だった
【結果と考察】
今回の患者では便秘症状発現時のみの服用で連日継続服用ではなかったこともあり、急激な症状の進行はなかった。しかし、皮膚症状の改善と悪化を繰り返した結果、状態が悪化してしまった。検査の結果、酸化マグネシウムからセンノシドに変更となり皮膚症状は徐々に改善している。酸化マグネシウム製剤では、高マグネシウム血症に目が向いてしまいがちだが、他の薬剤と同様に薬疹発生の可能性もあることも合わせて患者の状態を確認していかなければならないということを今回の事例にて再認識した。