[P-051-C] ホー吸入を取り入れた吸入指導により喘息コントロールが改善した「豊田吸入モデル」の1例
【目的】吸入治療において、患者は必ずしも十分な量の吸入ができているわけではない。薬効を最大限に発揮させるには、効率的に薬を気管へ到達させる必要がある。今回、豊田モデルに参加し、ホー吸入を取り入れた指導により、喘息症状が改善した症例について報告する。【症例】40歳代女性、気管支喘息により「フルチカゾン・ウメクリジウム・ビランテロール配合薬」を継続している。これまで吸入手技に問題はないと判断されていたが、咳・夜間症状・痰の症状が強く、発作による入院経験もあり、患者は喘息コントロールがうまくいっていない自覚があった。吸入時に味を強く感じており、舌の気流阻害による効果減弱が原因の一つとして疑われ、吸入パンフレットを用いてホー吸入を取り入れた吸入指導を行った。吸入手技は、吸入パンフレット(エリプタ)において19項目中、11項目が不十分な状態であったが、指導5か月後に再評価を行ったところ、2項目にまで改善し、患者は吸入時の味を感じなくなった。また、喘息コントロール状態・症状は、ACT(喘息コントロールの評価)・NRS(主観症状の評価)評価において、ACT 16から22へ、NRS 36から12へ改善した。【考察】本症例は、ホー吸入で舌を下げ、喉奥を広げたことにより、効率的に薬を気管支へ到達させることができた結果であると考えられる。薬・デバイスが同一でも、ホー吸入の手技習得により、症状が改善できることを確認できた。また、ツール活用のメリットは、情報収集すべき項目が明確になり、薬剤師にとって共通の指標となることである。これまで具体的な評価ができていなかった喘息の症状・変化・コントロールの継続的評価ができ、患者にとっても自身の状態を把握しやすく、治療に意欲的になることができた。本症例より、吸入手技に問題がないと考えられていた患者にも、ツールを用いた継続的な支援が有用であると考えられる。