[P-054-C] セマグルチド錠服用における服薬フォローアップがアドヒアランスの向上に寄与できた事例
【目的】セマグルチド錠は、服用時点、飲水量および吸湿性など、同一成分の注射薬とは異なる注意点が多くある。そのため、本剤を正しく服薬継続することが治療効果向上にとって重要となる。今回、本剤の増量処方に際し、薬剤師の電話フォローアップ(以下FU)での介入により、服薬アドヒアランスの向上に寄与できた症例を報告する。【症例】X年1月からセマグルチド錠3 mg開始。同年2月に7 mg増量時、1週間後にFUすることを取り決めた。しかし、FU予定日前に患者から、増量後嘔吐があったが継続して良いかと電話があった。その他の消化器症状や発熱、関節痛などはなく、急性胃腸炎や感染症等の可能性を除外し、本剤による一過性の副作用と推測した。また、他例で服用継続により症状が改善された例が多く見られたこともあり、継続するように指導した。その後、FU予定日に再度電話したが、嘔吐はその1度のみであり、その他の症状もなく服用継続を確認。定期受診日に担当医からも継続の指示を受けた。しかし、患者の服薬に対する不安感があり、受診日の11日後に再度FUしたが、気になる症状はないことを確認。今後再び消化器症状が出る可能性は低いこと、安心して継続してよいことを指導した。【結果】本剤3 mg開始時のHbA1c値は14%台であったが、3か月後に10%台、8か月後には8%台まで改善された。一度も服用を中断することなく継続することができた。【考察】消化器症状は本剤の服用初期に多く見られる副作用であり、本症例では、本剤の副作用発現時期を予測したFUにより、自己判断による服用中断や、間違った服用方法による治療効果の低下を防ぐことができたと考えられる。また、複数回のFUにより次回受診日までの間の切れ目のない治療継続支援、およびアドヒアランス向上に寄与できると考えられる。