[P-065-B] 睡眠障害患者に対する、薬局薬剤師によるピッツバーグ質問表を活用した睡眠指導介入効果の研究
【目的】厚生労働省によると、一般成人の約40%が何らかの不眠症状を有しており、そのうちの約5%が睡眠薬を服用している。そこで、睡眠衛生指導を行うことで睡眠状況の改善に寄与したいと考えた。睡眠障害の患者に対して、睡眠状況の把握及び生活指導の実施、睡眠状態の変化を調査し、その結果から、薬局で実施する睡眠指導をより有効なものとすることを目的とした。【方法】1年以上BZD系睡眠薬を服用中で、研究実施者所属店舗の外来・在宅患者を対象とし、2023年12月11日~2024年1月23日に、ピッツバーク睡眠質問票(PSQI)を用いて睡眠における7項目の得点(各0~3点)及び総合得点(0~21点)を算出して睡眠状況をスコア化した後、厚生労働省報告の「睡眠障害対処12の指針」の内容に沿った睡眠衛生指導を行った。1ヶ月後の来局・訪問時に再度PSQIを用いてスコア化し、指導前後でのスコア変化を、EZRを使用しWilcoxon 符号付順位和検定で解析し、有意水準を5%として検定した。【結果】対象19人中6人から回答を得て、うち4人は総合得点が減少した。総合得点の指導前後の中央値は12点→10.5点で、前後の有意差は認められなかった(p=0.089)。「睡眠の質」「入眠時間」の指導前後の得点の中央値はそれぞれ2点→1.5点、2点→1点で有意差はなかったが(p=0.149、0.089)、それぞれ50%、67%が得点減少した。【考察】睡眠指導前と指導後で有意差はなかったが、「睡眠の質」「入眠時間」のスコアに改善が見られ、これらが障害となっている患者への睡眠指導では改善に寄与できる可能性が示唆された。「睡眠障害対処12の指針」掲示や服薬フォローにより薬局における有効な睡眠指導が期待できるが、今回5項目はスコア改善が見られず、患者ごとに生活習慣や不眠要因を考慮して個別に指導することが必要と言える。