第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-067-A] 糖尿病患者における治療年数と薬局薬剤師に求められる服薬指導の内容との関係性

高木 千嘉1, 前田 守2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)あさひ調剤 アイン薬局 ゆめみ野店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】治療が長期化しやすい糖尿病患者では、服薬アドヒアランスの維持が重要となる。そこで、糖尿病患者が重要と認識する服薬指導の内容を調査し、薬局薬剤師の服薬指導における課題を検討した。
【方法】 2024年3月11日~4月7日に、糖尿病治療薬を含む処方箋を当薬局に持参した20歳以上の患者を対象に、紙面アンケートを実施した。「定期薬」「変更・追加あり」において、服薬指導の項目(「効能・効果」「用法・用量」「副作用」「飲み合わせ」)と説明を受けたい程度(「詳細」「要点のみ」)の組み合わせを明らかな偏りを回避すべく直交表を用いて8パターン作成し、各々当てはまる程度を5段階で回答する方法とした。結果は、糖尿病治療年数で「5年未満」「5年以上10年未満」「10年以上」に分け、コンジョイント分析で部分効用値を求めた。(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0231)
【結果】92名中72名の有効回答を得られた。本分析では、説明を受けたい程度の一方の部分効用値が正となる場合は他方が負となり、正となった組み合わせの関係性が強い。「詳細」の部分効用値は、「定期薬」では5年未満群のみ「副作用(0.12)」「効能効果(0.02)」で正、他は負であった。「変更・追加あり」では、「効能効果(5年未満:0.20、5年以上10年未満:0.32、10年以上:0.11)」「副作用(0.17、0.09、0.29)」において全群で正であった。
【考察】治療年数によらず、「定期薬」では「用法用量」「飲み合わせ」を含めたすべてに「要点のみ」の説明を、「変更・追加あり」では「効能効果」「副作用」の「詳細」な説明を求める傾向が示唆された。薬局薬剤師は、糖尿病患者の関心が服薬状況の変化にともなう効能効果や副作用などに集中し、変化による不適切な事象の防止への関心が低い可能性を考慮し、薬物療法の基本事項を定期的に啓発することも重要と考える。