第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-069-C] 社内スペシャリスト育成による心不全患者の管理改善とその成果

綱川 友季1, 加藤 誠一1, 寺戸 靖1, 近藤 澄子1, 田中 直哉2 (1.(株)ピノキオ薬局, 2.(株)ピノキオファルマ)

【目的】
2024年調剤報酬改定において心不全のフォローアップが組み込まれるなど、心不全患者の療養指導において薬局薬剤師が果たす役割は重要である。
弊社では以前から心不全の管理に着目し、2022年に社内認定心不全スペシャリスト制度を立ち上げた。動画研修やWebのグループ研修等を実施して6名が認定され、その中から2021年に創設された日本循環器学会認定心不全療養指導士の取得者が誕生した。
社内認定薬剤師の心不全患者への貢献度を明らかにするため、収集した症例を報告する。
【方法】
2023年5月~2024年4月の間に、社内認定薬剤師が心不全患者に対応した内容を症例報告書に記載させて収集した。
報告書へは、減塩・運動・服薬状況・自覚症状の確認状況、増悪時の対処、病識等の現状やその介入内容を記載することとした。そして介入事項がその後の経過に有効であった症例を抽出した。
【結果】
34例の報告があり、内訳はステージA3名、B7名、C24名であった。ステージCの24名中何らかの症状があり、特に注意が必要と思われる患者は浮腫4名、労作時息切れ2名であった。その中で、浮腫を確認し対応した患者の一部経過を紹介する。
症例1:88歳女性。ステージC。心不全増悪により2回の入院歴があるが、病識不足と自己管理の認識不足を認めたため、セルフチェックを中心に指導した。その後、浮腫の悪化時には速やかに受診することができた。
症例2:89歳女性。ステージC。患者に心不全の認識はなかったが、NT-proBNPが1000を超えており心不全の可能性を説明。塩分チェックシートを実施し減塩指導、その後の検査で推定1日食塩摂取量が7.0gから5.3gに減少し、浮腫は改善した。
【考察】
心不全患者への薬局薬剤師の積極的な介入により、症状改善や悪化時の早期対応につながることが示された。
心不全療養指導士を中心に心不全患者へ更に貢献し、心不全の悪化・再入院の予防に寄与したいと考える。