第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 3, 2024 2:50 PM - 3:20 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-072-C] 調剤レセプトデータベースを用いたシロスタゾールによる処方カスケード発生リスクの検討

新井 将太1, 伊藤 将2, 前田 守2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 白石店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】シロスタゾール(以下、CLZ)投与時は、頻脈の発生に伴う抗不整脈薬の処方カスケード(以下、PC)が懸念され、薬局薬剤師はこの回避に努める必要がある。そこで本研究では、匿名加工済調剤レセプトデータから把握したCLZ使用患者における抗不整脈薬の処方状況に基づいてPC発生リスクを評価するとともに、PC発生リスクに影響する要因も検討した。
【方法】2018年1月から2022年12月の当社グループ保険薬局の匿名加工済調剤レセプトデータを利用し、新規にCLZが処方された患者を抽出した。CLZ開始前後360日間におけるVaughan-Williams分類の抗不整脈薬の処方状況から、PC発生リスクの評価に用いられる調整順序比(ASR)を算出した。ASRの95%信頼区間(以下、CI)下限値が1を上回る場合、PC発生リスクを示すシグナル検出ありとした。また、シグナルの妥当性を評価すべく、異なるCLZ開始前後の間隔(30日、60日、90日、180日)においてもASRを算出した。さらに、PC発生リスクに影響する要因を検討すべく、年齢(70歳以上 vs 70歳未満)、性別(男性 vs 女性)、投与量(200mg/日以上 vs 200mg/日未満)のサブグループごとにCLZ開始前後90日のASRを算出した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0221)。
【結果】CLZ処方前後の全ての間隔でASRの95%CI下限値が1を上回り、抗不整脈薬のPC発生リスクを示すシグナルが検出された。年齢と性別の分析では全てのサブグループでシグナルが検出されたが、投与量については、200mg/日以上で検出されたシグナルが200mg/日未満では検出されなかった。
【考察】本研究より、CLZ投与量200mg/日以上においては、投与開始後に抗不整脈薬のPCが発生している可能性が示唆された。したがって薬局薬剤師は、CLZ服用に伴う頻脈発現を確認した際は、その服用量に注意して必要に応じて減量を医師に提案する等、PCを回避して根本的解決を図るように努めることも重要である。