第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-075-C] 保険薬局における調剤過誤発生件数に影響を及ぼす要因分析

葛山 聡 (きょーわ薬局(株))

【目的】本研究は保険薬局において、調剤過誤の発生件数と関連性が強い要因を明らかにすることを目的とする。【方法】分析には回帰分析を用いる。キョーワ薬局の81店舗を対象とし、対象期間(2022年1月~2023年12月)の調剤過誤件数、インシデント件数、月毎の処方箋受付回数、季節、各店月平均運営薬剤師人数合計、各店月平均運営調剤補助人数合計を抽出した。抽出したデータをもとに、被説明変数に各月の総調剤過誤件数を設定した。さらに説明変数に各月の総インシデント件数、各月の処方箋受付回数、各店月平均運営薬剤師人数合計、各店月平均運営調剤補助人数合計を設定した。季節についてはダミー変数用いて四季を設定した。次に調剤過誤件数、インシデントを項目別に変更し、各調剤過誤項目の発生に影響を及ぼす要因を調査した。有意水準は5%未満とした。【結果】総過誤件数と関連性のある項目はない。ただし、調剤補助者数が多いほど発生件数が減少しやすい傾向がみられた(p値0.06、t値-2)。項目別分析結果として異物混入ミスは薬剤師数が多いほど減少し(p値0.04、t値-2)、受付回数が多いときに過誤件数が増加する(p値0.04、t値2)。計数間違いはインシデント件数が多いほど増加する(p値0.05、t値2)。処方薬の交付漏れは調剤補助数が多いほど減少する(p値0.00、t値-4)。薬袋間違いは受付回数が多いほど増加し(p値0.01、t値3)、冬季に増加する(p値0.04、t値2)という結果を得た。【考察】調剤補助者増加による薬剤師業務の補助体制の充実が調剤過誤全体の減少に有効である事が考えられる。また人為的なチェックのみに頼りがちな項目については人員の充実により回避できると考えられる。計数間違いはミスの総数自体が多い項目であるため、インシデント時点では防止できない調剤過誤も多数発生してくることが考察できる。