第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:00 PM - 1:40 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-082-A] 医薬品自動入庫払出装置の導入による対物業務改善効果の検討

山根 孝太1,2, 尾上 洋1, 戸丸 猛2, 青木 尚2, 東坂 秀作2, 山崎 睦夫2 (1.アイングループ (株)ファーマシィ, 2.日本ベクトン・ディッキンソン(株))

【目的】薬局薬剤師には従来の対物業務中心から対人業務中心へとシフトが求められている。医薬品の取り揃えの機械化は、対物業務の効率化だけでなく、待ち時間短縮や調剤過誤の防止も期待できる。今回、医薬品自動入庫払出装置(以下自動装置)の導入による対物業務の改善効果を検討した。
【方法】自動装置導入前後各1年間の待ち時間をWelch t testで、取り揃えに関するヒヤリ・ハット発生をChi-squared testにより検討した。待ち時間はレセコンアクセスから入金処理までの時間とし、剤数の影響も検討した。また、外用薬のみの処方や一包化処方は除外した。
【結果】自動装置導入前後の待ち時間は858秒、1018秒で導入により待ち時間は延長した(p<.001)。処方剤数により層別化した結果は、5剤以下では導入前が777秒、導入後が960秒で待ち時間は延長した(p<.001)。一方、6剤以上では導入前が1508秒、導入後が1493秒で待ち時間は短縮する傾向が見られた(N.S)。ヒヤリ・ハット発生率は導入前後で0.65%(291/45,061)、0.34%(149/43,289)だった(p<.001)。内訳は計数間違い・取り忘れが最も多く、発生件数に占める割合は前後で50.5%(147/291)、67.8%(101/149)だった。
【考察】処方薬剤数が5剤以下では、自動装置導入後待ち時間は延長したことから、剤数の少ない処方では人的作業の方が取り揃え効率が高いと考えられた。対象薬局における1処方当たりの薬剤数は2.9剤±2.1(平均値±S.D)であり、多くの処方が自動装置による取り揃え効率の低い、低薬剤数の処方であることが導入後の待ち時間延長の一因と考えられた。また調査期間中、薬剤取り揃え前の患者確認の強化など、調剤の流れが変化したが、本研究では考慮していない。今後、機器導入以外の待ち時間に対する影響要因を考慮した検討が必要である。
自動装置導入後ヒヤリ・ハットの発生は有意に減少したことから、安全性向上に寄与するものと考えられた。