第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-085-A] 専門医療機関連携薬局取得に向けた活動の中でテーラーメイド医療を行い処方適正化に貢献できた事例紹介

村富 裕貴, 中原 優 (ウエルシア薬局(株))

【背景】患者のための薬局ビジョンにもある通り、保険薬局では、高度薬学管理機能が求められており、高い専門性が期待されている。その背景から、2021年8月より「専門医療機関連携薬局」の認定制度が始まった。現在、専門医療機関連携薬局として認定されている傷病の区分はがんのみである。ウエルシア薬局池田城南店では2023年11月より専門医療機関連携薬局の認定取得に向けた活動を行っている。活動の中で患者背景を把握する事で処方の適正化に貢献できた事例について報告する。【症例】60代女性骨粗鬆症のため整形外科を定期受診、エルデカルシトールを内服されている患者。既往歴に乳がんがあり、術後ホルモン療法としてアナストロゾールを5年間服用後、現在は無治療経過観察中。今回、骨密度が低下したため、バゼドキシフェンが開始となる。SERMは、乳がんの抑制効果は知られているが、再発リスクはゼロではないと考え、製薬会社へ確認。乳がん患者における投与例のデータはなく、投与は推奨されないと返答あり。また、文献を検索すると海外では健常者におけるSERM投与による乳がん発症の予防効果について報告があるものの、日本人を対象としたデータはなく、乳がん患者におけるSERM投与例の報告もなかった。以上の情報を鑑みて、本症例に対してバゼドキシフェンの投与は、データ不足のためエビデンスが不明瞭であり、乳がん再発の影響を払拭できないと判断。医師へ情報提供及び、薬剤変更を提案し採択された。【考察】本症例はがん患者の情報を一元的に管理していたことで、処方の見直しにつながった事例である。専門医療機関連携薬局では、専門性を活かし、がん治療中の患者の指導やフォローアップなどのサポートが期待されている。今回の事例を通し、それだけでなく、がん患者の情報を一元的に管理できることで、がんサバイバーも含めたがん患者の継続的な支援ができることを示す一例となった。