第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-086-B] 服薬フォローアップによるセマグルチド錠の服薬順守調査

寺川 純1, 佐藤 雄一2, 服部 翔3, 小竹 武4 (1.フロンティア薬局平群店, 2.中の島店, 3.(株)フロンティア大阪支店, 4.近畿大学薬学部)

【目的】経口セマグルチド錠は胃内での吸収が主であり、絶食規定や服用における水分規制もあることから、患者の服用状況によっては十分な効果発現が期待できない薬剤である。それ故に調剤後の服薬フォローアップ(f/u)を用いて自宅での適正使用を確認することは重要である。今回、投薬後の服薬f/uを通して経口セマグルチド錠の服薬が適正に行われているか調査を行った。
【方法】2024年4月20日から5月13日の期間でセマグルチド錠服用者29名に対して服薬f/uを行った。(1)「最初の食事または飲水前の空腹時服用」(2)「約120mL以下(コップ約半分)の水での服用」(3)「服用後30分間飲食及び服薬を避ける」(4)「飲み忘れ時はその日は服用しないか」の4項目の可否を確認した。尚、研究は近畿大学薬学部倫理委員会の承認を得て実施した。(承認番号24-248)
【結果】調査可能対象は27名であり、平均患者年齢68.3±13.2歳であった。調査結果は、(1)25名(93%)、(3)26名(96%)で順守を確認した。(4)は飲み忘れ経験のある患者10名(37%)のうち、9名(90%)の患者で順守を確認した。一方、(2)は10名(37%)が順守できておらず、このうち240mL(コップ約1杯分)以上の水で服用している患者が9名(90%)であり、過量な水で服用する必要があると認識している患者が多く認められた。
【考察】留意すべき事項として、セマグルチド錠服用時の水量を誤って解釈し、自己流の服用方法の患者を多く認められた。対応策として適切な水量を具体的な容器で示したり、患者が使用のコップを確認するなどの服薬指導を導入することで、誤った認識の是正から正しい服薬理解につながることが期待できる。適切な指導後の再確認が今後の課題であり、特別な注意事項のある薬剤継続服用者に対して、定期的な服薬確認が重要であることが示された。