第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-088-A] 慢性疼痛に対するNSAIDs使用患者の疼痛管理の実態調査

原田 拓弥1, 園部 愛梨2, 清水 玖美3, 齋藤 仁4 (1.総合メディカル・ファーマシー中部(株)柏友堂薬局, 2.ハロー薬局 今伊勢店, 3.ハロー薬局 稲沢店, 4.総合メディカル・ファーマシー中部(株))

【目的】非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は長期使用によって腎機能低下や消化管潰瘍などのリスクがあり、漫然と使用することは望ましくない。薬局ではNSAIDsを長期服用しているが、痛みを訴える患者や、痛みは治まっているが漫然と処方が出ている患者を多く経験する。今回、NSAIDsの処方適正化を目的とし、NSAIDs長期服用患者を対象とした疼痛管理の実態調査を実施した。
【方法】2023年6月1日~7月31日の期間に、総合メディカル・ファーマシー中部(株)内の12薬局で、3か月以上同一のNSAIDsを1剤以上継続服用している患者に対し、アンケート調査を実施した。調査項目としては、痛みの強さ(フェイススケール(以下、FRS)を用いて、痛みのない0点から最も強い痛み6点までの6段階で評価)、痛みのパターン、生活への支障有無、今後の治療希望とした。
【結果】35名から回答が得られた。FRSは、0点:0名、1点:1名(2.9%)、2点:7名(20%)、3点:19名(54.3%)、4点:4名(11.4%)、5点:4名(11.4%)で、6点の6名(17.1%)は痛が強く継続しており、薬剤師の対応を希望と回答した。痛みはなく生活に支障がないのに漫然と服用している患者はいなかった。また、動作時疼痛:27名(77.1%)、安静時疼痛:18名(51.4%)、関節の屈曲時や伸展時の疼痛:25名(71.4%)、痛みで眠れない:10名(28.6%)などの回答があった。
【考察】今回の調査の結果、FRS3点以上が8割にのぼり、うち痛みの強い6名が薬剤師の対応を希望していたことから、疼痛管理が出来ていないにもかかわらず、薬剤師の介入が十分にできていないことが示唆された。安全性の評価では、NSAIDsの漫然投与は確認できず、患者からの痛みの訴えに応じて処方が続いていることが明らかとなった。今後NSAIDsの処方適正化を行うためには、患者面談時に痛みについて十分な聞き取りを行うととともに、患者情報を医師と共有しながら継続的にフォローしていくことが重要だと考察した。