第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:50 PM - 2:30 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-089-B] 小児科領域の喘息治療における吸入薬の選択因子について

近藤 由佳1, 吉田 哲也2, 加藤 理乃1, 井上 知美1, 石渡 俊二1, 小竹 武1 (1.近畿大学 薬学部, 2.ライフサイズ(株) あかり薬局)

<目的>小児科の吸入薬治療は副作用を低減し、気道抵抗および炎症改善として有効である。しかし、手技的問題による吸入効率を考慮した吸入薬剤を選択する必要があり、患者背景に応じた吸入薬の適正使用の一助となる因子を抽出することは重要である。
<方法>主に小児科の処方せんを受け付ける調剤薬局の処方データ(2015年から6年間の処方件数53683件)から、喘息治療吸入薬アドエア®(Ado)、フルタイド®(Flu)、パルミコート®(Pul)、レルベア®(Rel)の処方データのトレンドを調べた。さらに、剤形(エアゾール:Aer→ディスカス:Dis)の使用年齢をt検定、ROC解析、吸入薬の併用薬の違いをχ2検定で解析した。
<結果・考察>Ado(Aer、Dis)、Pul吸入液の処方頻度は年々減少傾向にあり、Rel(エリプタ)は全体的に処方頻度が低い一方、Flu( Aer、Dis)は2017年以降最も汎用されていた。Pul吸入液はネプライザーの準備が必要になるなど利便性の問題があり、AdoやRelは吸入ステロイド(ICS)と頓用が望ましいβ刺激薬が合剤であることが処方頻度減少となったことが示唆される。Aer (Ado: 5.6±2.7歳、Flu: 4.3±1.8歳: p<0.001)、Dis (Ado: 10.7±4.5歳、Flu: 9.7±3.8歳: p<0.001)で有意にAdoの使用年齢が高いことが示された。さらにAerからDisへの切替年齢の解析結果はAdoは6.9歳、Fluは6.1歳であった。Ado、FluのDisの併用薬レボセチリジン塩酸塩錠を7~15歳で比較した結果、Adoの処方頻度の方が有意に高かった(Ado17.9%、Flu10.1%:p=0.0046)。AdoはICSだけでは効果不十分な気管支狭窄のある重度の患者に使用されており、アレルギー性疾患などの合併頻度の高いことが示唆された。