[P-092-B] 過活動膀胱治療薬のトレンドおよび併用薬解析による選択因子の抽出
【目的】過活動膀胱治療薬は抗コリン薬とβ3受容体作動薬があり、排尿困難や心疾患を有する高齢者での過活動膀胱治療薬の処方選択因子を抽出する。【方法】2013年1月から2023年8月までの調剤薬局の処方データ3527件から過活動膀胱治療薬の抗コリン薬とβ3受容体作動薬の処方患者(コハク酸ソリフェナシン:125名、イミダフェナシン:53名、プロピベリン塩酸塩:47名、ミラベグロン:127名、ビベグロン:31名)を抽出した。各薬剤の年単位のトレンドおよび処方前、処方中のニューキノロン系抗生物質、便秘薬の処方頻度をx2検定、フィッシャーの正確確率検定で解析し、多重検定において、Bonferroni法によりp<0.01を有意差有とした。【結果】処方トレンドにおいて、対象期間中、コハク酸ソリフェナシンが最も多く、次いでミラベグロン、ビベグロンが使用されていた。イミダフェナシン、プロピベリン塩酸塩は一時減少傾向であったが、近年は上昇していた。ニューキノロン系抗菌薬(処方前→処方中:抗コリン薬8.2%→22%、β3受容体作動薬13%→11%、p=0.157→0.004)は、処方前では有意差は認められず、処方中の併用で抗コリン薬の方が有意に高かった。便秘薬(処方前→処方中:過活動膀胱治療薬61%→84%、p=0.0088、ミラベグロン61%→83%、ビベグロン81%→77%、p=0.0529→0.0481)は、過活動膀胱治療薬処方中の併用で有意に高く、有意性は認められなかったが、ミラベグロンの方がビベグロンより処方頻度が高かった。【考察】抗コリン薬による尿閉から乏尿をきたし、尿路感染症の罹患率が高くなることからニューキノロン系抗菌薬が有意に併用されていることが示唆された。過活動膀胱治療薬による便秘から処方中の便秘薬の処方頻度は上昇しており、β3受容体作動薬の便秘発現頻度の違いが示唆された。今回の調査から尿路感染症既往歴の有無や便秘薬使用の有無等が選択因子として考えられる。